第四話 ヴァリエール公爵家
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残されるオレとカトレア嬢。
「ええっと、カトレア・・・さん」
「はい、何でしょう?」
「とりあえず、何か飲む? 僕はオレンジジュースを飲もうかな」
「それでは私も同じものを」
近くにいた給仕にジュースを二つ頼む。
・・・・・・
むむむ、五歳児相手に何を話せばいいんだ。
いろいろ考えているうちに給仕がジュースを持ってきた。
「それじゃ、今日の出会いとこれからのお付き合いに・・・その、乾杯!」
「うふふ、乾杯」
杯同士が重なってチンと軽く音を立てる。
いかん、笑われた。
「そのドレスとてもよく似合うよ」
「ありがとうございます、特別に仕立ててもらったドレスで初めて着るんですが気に入ってもらえたようで嬉しいです」
「うん、カトレアの魅力をよく引き立ててるよ」
我ながら臭いセリフ。
「・・・あ」
ポッと、頬を赤く染める。どうやらバッチリよい印象をあたえた様だ。
・・・・・・
お互いにこやかに談笑していると会場内で流れていた音楽が変わる。
「カトレアはダンスは踊れるの?」
「いえ、私は身体も弱いしダンスは・・・」
むむ、そうだった彼女は身体が弱いんだった。
「それじゃ、バルコニーへ行ってみようよ、月が綺麗だよ」
「はい!」
パッとカトレアの顔が華やいだ。
オレはカトレアの手をると、その手を引いてバルコニーへ向かう。
・・・・・・
バルコニーにて。
雲ひとつ無いいい夜だ、双月の光でお互いの顔が良く見える。
「月が綺麗だね」
「はい、とっても綺麗です」
「今日はカトレアにあえて嬉しかったよ」
「私も殿下に会うことができて嬉しいです」
「それよりもカトレアのこと何か聞かせてよ」
「私のこと?」
「そう、カトレアはどういったものが好きなのか気になってね」
「私は・・・動物が好きなんです」
「動物か、何か飼っているの?」
「インコと犬を飼ってるの」
「へぇ」
「あの、殿下はどういったものが好きなんですか?」
「僕は本を読むのが好きかな」
「御本ですか?」
「うん、歴史書なんか特にね」
「難しそうです・・・」
「そうかな? 歴史を物語として読めば、すごく分かりやすいんだけど」
「そういうものなんでしょうか?」
「そう思うよ、僕は」
その後も、とりとめのない会話を続けていると彼女が病に犯されていたことを思い出した。
「そういえば、カトレア」
「はい?」
「カトレアは病気だって聞いたんだけれど」
「はい、今日は体調が良くて
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