第四話 ヴァリエール公爵家
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「はい」
折り畳みイスに腰を下ろし、さっき見た黒い影がどのような姿かたちをしていたか思い出そうとしたが、なにせ一瞬の事だったせいか中々思い出せなかった。
30分ほど捜索したが結局怪しいものは見つからなかったため、再び出発することとなった。
(あの影はオレの見間違いだったんだろうか?)
モヤモヤしたものを抱えながら、今日の宿泊地であるグラモン伯爵の屋敷に到着した。
グラモン伯爵の屋敷に到着した国王一行は贅を尽くしたもてなしを受けた。来る途中に領地を見たがあまり手入れをしてないせいのか痩せた土地の印象だった、グラモン領の財政は大丈夫なのか?
そんな中、晩餐会の会場にてグラモン伯爵に三男のジョルジュ君を紹介された、歳はオレと同い年の五歳だそうだ。
「は、初めまして、マクシミリアン殿下、ぼ、僕はグラモン伯爵の三男ジョルジュ・ド・グラモンです!」
元気いっぱいに挨拶された。
「初めまして、マクシミリアン・ド・トリステインです、ジョルジュ君のような歳の近いの子とほとんど遊んだことが無いんで、もしよかったら友達になってくれませんか?」
「は、はい!」
なんとも良い笑顔で返された。・・・失礼だが尻尾をパタパタ振る子犬を幻視してしまうような笑顔だった。
宴も酣になり、宛がわれた寝室へ向かう、オレと両親の三人で大きめの客室を使うことになっている。グラモン伯爵はそれぞれ個室を用意しようかと提案してきたが両親は断ったようだ、オレは個室がよかったんだが。
転生してからずっと寝起きは三人一緒だ、いい加減に個室が欲しいが両親は首を縦に振ってくれない。母さんなど泣いて止めに来る始末だ。二人ともオレを愛してくれているのは分かる、分かるが故にそろそろ耐えられなくなってきたのだ。
・・・実の親にすら演技で接するオレにその資格はあるのかと、ね。
幸い五歳児の身体はより多くの睡眠時間を要求する、そしてだんだんまぶたが重くなり昼間見た黒い影のことなど忘却してしまった。
旅行五日目、ようやく目的地であるヴァリエール公爵領に入った、途中、ヴァリエール公爵自ら少数の兵を率いて国王一行と合流し、西日が馬車内に差し込むころにヴァリエール公爵の屋敷、というより城に到着した。
屋敷内は誕生パーティーに招待された貴族たちが国王一行到着を今や遅しと待ち構えていた。
ヴァリエール公爵に伴われてパーティーの催される会場に入ると会場内を埋め尽くさんばかりの拍手で向かいいれられた。
『トリステイン王国万歳! 国王陛下万歳!』
『トリステイン王国万歳! 王妃殿下万歳!』
『トリステイン王国万歳! 王太子殿下万歳!』
定番の万
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