第十五話「その憧れは、歪みとなる」前編
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れが貴様のISか……噂通り、その姿は剣を持つ人間そのものに見える」
「零を舐めるな!」
「雑魚が……!」
ラウラは片腕から何かを放った。シュンッと風を切る音と共に、俺の手首にワイヤーが絡みつく。
「!?」
そのことに気付いたときにはすでに遅かった。
「そらぁ!」
「うおっ!?」
ラウラは力いっぱい引っ張る。すると、俺はその力に引かれてワイヤーと共に宙を舞い急降下して地面へ叩き付けられ、土煙が漂う。
「い、いたた……!」
しかし、そんな俺の頭上にはラウラが肩部に構える巨大な銃口を向けていた。
「もらった……」
「!?」
咄嗟に、手首に巻き付くワイヤーを零で切ってそこから離れた。その直後、巨大なビームが煙を突き破って地面を直撃。間一髪だった。しかし、なおも彼女の猛攻は隙を見せずに続く。
「……絶対神速!」
俺は叫んだ。こうなれば、あの技を使う以外他ない……しかし!
――絶対神速が……動かない!?
何故だ。いつもなら無意識にも反応するというのに……
「何をモタついている!?」
ラウラの攻撃が俺に直撃した。手の甲から展開されるビーム状の刃がそれだ。俺の胸元にヒットし、シールドが40パーセントも減らされる。
「まずい! 零、どうして……!?」
何故、絶対神速が思うように発動されないのか……まるで、零が拒んでいるかのようにも思えた。
「どこを見している!?」
ラウラの纏うシュヴァルツェア・レーゲンの片手が、俺の首元を鷲掴んだ。
「ぐぅ……!」
兵器であるISの握力は桁違いに凄い。やろうとすれば、俺の首をへし折ることができるだろう。だが、ラウラはあえてそれをしなかった。じわじわとゆっくり痛めつけるのだ。
<i4912|14018>
「先ほどまでの勢いはどうした?」
と、彼女は俺をアリーナの壁へ勢いよく叩き付ける。壁は砕けて、俺は口から血を吐き出す。
「ぐはっ……」
「どうした? 私に対して剣を抜いたのだろう? なら、それそうおうの腕を見せてみろ!」
「ぐぅ……くそ!」
ジタバタする俺を、ラウラは何度も壁へ叩き付けた。吐血は酷くなり、額からも血が垂れ流れた。
「ぐ、うぅ……」
度重なるダメージを受け、ついにシールドが0を切ってしまった。俺のRSは強制解除されて、零の刀は粒子となって消えた。そして、徐々に意識が遠のいていく……
「たわいもない……所詮はこの程度か?」
「そう言うお前も所詮はこの程度だ」
「……!?」
ラウラは、背後からの凄まじい殺気に振り向いた。途端、彼女の首元に巨大な刃が当てられていた。
「お前の暴挙もここまでだ……安らかに、とは言えないが、そのままあっけなく永久に眠れ」
「キサマは、ヴォルフ……!」
ラウラは、狼との戦いで気がちり、ヴォルフの存在に気付かなかったのだろう。
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