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RSリベリオン・セイヴァ―
第十五話「その憧れは、歪みとなる」前編
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うだね」
朝食を載せたトレーを持って、俺たちは丁度空いてある席に座って食事をとった。
「あ、狼ちゃんに弥生チンだ〜?」
俺たちの元へ、狐の着ぐるみを着た妙な女子生徒、無仏本音が駆け寄ってきた。彼女は、学園の中で唯一「女尊男卑」に被れない少女で、のほほんとしているせいか、誰に対しても無邪気に寄り添ってくる。あの太智も、彼女にだけは優しく接しているそうだ。
「お〜! 朝から、仲がいいですなぁ〜?」
「ち、ちがうって? 無仏さん」
俺は、顔を赤くして否定した。しかし、隣に座る弥生は、何故か寂し気な顔をしている。それを見てか、本音は俺にこう言ってきた。
「……ウルフ(※本音がつけた狼の愛称)? 千冬センセーが呼んでるよ? コッチコッチ♪」
「え、おう……弥生ちゃんは先に食べてて?」
「はい……」
弥生は、そんな俺を不安げに見守った。俺は、本音に学食から少し離れた、人気のない廊下へと連れてこられた。
「無仏さん、先生は?」
「えっと……」
俺が尋ねると、本音は辺りを見回した後に俺へこう話した。
「ごめんね? ちょっとお話がしたくてさぁ?」
「話……?」
「えっとね……弥生ちんのこと」
「弥生ちゃんの?」
「私から見て……弥生ちん、ウルフのこと好きなんじゃないの?」
「え!?」
彼女の声から、ありもしない声が出てきて、俺は目を丸くした。
「何だかさ? 二人って凄い仲が良くない?」
「で、でも……それは、そう見えるだけだよ?」
「ふぅ〜ん? でも、弥生ちんのほうは満更そうでもないように見えるよぉ?」
「え、けど……」
「ウルフはさぁ? 弥生ちんのこと、どう思うのぉ?」
「え、それは……」
途端に顔を真っ赤にする俺に、本音は図星だと気付いた。
「やっぱりね〜? やっぱ、緊張するよねぇ〜?」
「……けど、彼女には「婚約者」が居るし」
ボソッと言う俺のセリフに、本音は目をキラーンと輝かせた。
「おお! それってまさかの禁断の恋ですな!?」
「単なる俺の片思いかもしれないし……」
「まぁ……私の話を信じるも信じないのも自由だけどさ? とりあえず、もうちょっと弥生ちんと仲良しを続けてみたらいいよ〜? 距離が縮まったら、その婚約者について聞いてみるのもいいしさ〜?」
「……」
「じゃっ☆」
と、言いたいことだけ言うと、本音は俺から去っていった。
「あ、ああ……じゃあな?」
それから、俺はなにもなかったかのように弥生の元へ戻った。
「どうかされたんですか?」
「いや、大したことじゃないよ?」
適当に理由でも言って、俺は食事を再開した。

午後、昼休みに俺は弥生とお喋りでもして時間をつぶしていた。やはり最初は緊張しつつあったが、今となっては彼女との会話にもなれて、話が盛り上がっていた。
「……へぇ?
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