第一部
第二章 〜幽州戦記〜
六 〜邂逅〜
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は良いな?」
「へいっ!」
良い眼をしている。
これならば、必ずや良き一手の将となるに違いない。
「土方様! 程遠志の軍が、官軍に降伏したようです!」
駆け込んできた伝令に、皆が大きく頷く。
「終わったな。皆の者、休むが良い」
「はっ!」
食事を取り、一息ついている最中。
「歳三様。董卓殿が、お目にかかりたいとの事です」
稟が、知らせを持ってきた。
「董卓か……。どのような人物か、知っておるか?」
「并州刺史を務めている方ですね。確か、西涼の出だったかと」
「その他には?」
「……申し訳ありません。その程度しか。風はどうです?」
「そうですねー。稟ちゃんと同じです」
ふむ、二人とも良く知らぬ人物、という訳だな。
先入観を持って望まぬ方が良いのかも知れぬが……私の知る董卓と言えば、暴虐君主の代名詞。
心して、かかるべきか。
だが、今の私には向こうの申し入れを断るだけの権限も実力もない。
「よし、会おう。では星、風。一緒に来てくれ」
「はっ!」
「わかりましたー」
「稟は、敵から鹵獲した糧秣の整理を進めてくれ。愛紗はその補佐を、鈴々は念のため、黄巾党の残党を警戒しておくように」
「御意」
「ははっ!」
「了解なのだ」
さて、鬼が出るか蛇が出るか。
「初めまして。董卓、字を仲穎と申します」
「ボクは軍師の賈駆、字は文和よ」
「ウチは……まぁ、ええか。張遼、字は文遠や」
出てきた三人を見て、先入観を持たずに来て正解であった、と再認識した。
まず、董卓は可憐な少女。
賈駆も、背丈は並ぶ董卓とほぼ同じか、こちらも眼鏡をかけている。
そして張遼。
「拙者、土方歳三と申す。こちらは拙者に従う、趙雲と程立にござる」
「まずは、黄巾党討伐、おめでとうございます」
「は」
儚げな印象通りの、か細い声。
……暴虐の限りを尽くしたという、書物上の知識とは結びつかぬ。
「程遠志は、この辺りでも最大の勢力を誇っていました。これで、少しは人々も苦しみから救われるでしょう」
「でも、他の官軍も手を焼いていたというのに。ボクには、まだ信じられないわ」
「しかし、そちらの張遼殿にも伝えた通り、事実は事実です。こうして、敵は実際、壊滅しておりますからな」
「せやなぁ。あの後、掃討戦やっとったけど、あの慌てようは、芝居ちゃうで」
「然様。ここには来ておりませぬが、関羽と張飛と申す者が、程遠志とケ茂を討ち取っております」
「詠ちゃん。実際、手柄を立てている方よ? 疑っちゃダメ」
「わ、わかってるわよ、月」
董卓と賈駆、単なる主従という訳ではないようだな。
「拙者の方こそ、貴軍の協力なしに
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