暁 〜小説投稿サイト〜
Sword Art Online-The:World
#01 英雄達
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とドアの方から人が入って来た。
すらりと伸びた深長に豊満な双峰、シニョンに結い上げた長い黒髪のクールビューティー。女性はそのまま部屋の中央を歩き、室長席に座る火野の左脇に控える形で全員を見渡した。

「これはこれは佐伯令子お姉さま、おはようございます」

「ホント、女ってみるとすぐに態度変えるんだから……海斗君も亮も、こんな風になったらダメよ?」

「こんな風って何だよ! 俺は全ての女性をこよなく愛する“紳士”だぞ、それの何が悪い! ちなみに、現在俺の中の美人カーストナンバーワンは令子さん、アンタ以外にありえない! 容姿、スタイル、性格、職業、全てが揃った完璧超人ッ! これを置いて他の女性はあり得ないッ!」

「あっそ。それじゃ仕事に入るわね」

…………いや、真面目にそろそろ学習しようぜ。
亮の呟きは、何度も香住に届いているであろう筈だが、本人が学習しなければ意味が無いのだ。
香住を手早くあしらった佐伯は、持ち込んだ鞄から一冊の資料を取り出した。それは海斗達が事前に配られた資料と同じものであり、彼女はそれを徐に開くと解説を始めた。
かくいう間に香住は部屋のカーテンを閉め切り、なんとも慣れた動きでディスプレイの用意を済ませた。もう身体が覚えているのだろうか、それとも佐伯の意思を読んで自発的に動いたか。どちらかは誰にもわからないままである。

「今回の依頼は、『ソード・アート・オンライン』の内部調査。内容を攻略しなければ解明できないバグや異常があると予想される為、二人には基本的には一般プレイヤーとして調査・進行を務めてもらう事になるわ。
その後、各異常値に対する脳髄への影響や外的要素の調査、そしてウイルスなども、今回の調査の依頼に含まれているわ。『The:World』のように“AIDA”や“モルガナ因子”のような、独自に成長する事で生まれるバグの誕生も考慮されるから、そういった場合には、」

「管理者として、それらを駆除しろって事だろ」

「そう言うこと。一応セレモニー後には、貴方達のアカウントに管理者権限を付与する事にはなってるから、迷惑プレイヤーやRMTプレイヤー、チートなども貴方達の駆除の対象に当て嵌まるわ。そこのところ、ちゃんとしてね」

「佐伯さん」

「何かしら?」

「…………あまり考えたくはないんだけど、未帰還者のような事件も発生し得なくはない、んですよね?」

全員が推して黙る。否、黙らざるを得ない。
此処にいてその言葉を知らぬ者はいない。それこそが、彼ら『.hackers』が生まれた由縁なのだから。
『未帰還者』――過去における『The:World』において発生した、プレイヤーがゲーム内でキルされる事で“現実でも”意識不明になる不可解な事件。一時は、新聞の一面を飾った一大事件でも
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