暁 〜小説投稿サイト〜
Sword Art Online-The:World
#01 英雄達
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たる存在であり、そういったサイトに直接的に潜入し内部調査を行うのが彼らの仕事だ。かつてCC社が引き起こした『The:World事件』の際にも、彼らは一ユーザーでありながらその事件の解決に乗り出し、見事事件を解決した功績と実力がある。
現代においては電子ドラッグなどが横行し、ゲームを用いての犯罪行為なども少なくない。そんなご時世にVRMMOなどと来てしまえば、彼らに仕事が来ないわけがないのだ。そして今回の調査対象は、今テーブルに置かれている二本のゲームソフト。タイトル名『ソード・アート・オンライン』。人類初のVRMMORPGにして、人類初のフルダイブシステムツール『ナーヴギア』を用いたゲームの第一作目である。
数時間後には、開店前の深夜から並んだ一般人がこぞってゲームを手にし、大喜びしている頃だろう。そんな中で、仕事という名目でもそれを横から?っ攫うような方法で入手した事に、二人は少しばかり後ろめたさを感じていた。

「ワイズマ……火野君は『仕事だからと言って遊び過ぎるなよ。提示報告は欠かすな』だって。ホントはすっごくやりたかったんだろうね。彼もゲーマーだし」

「八咫……火野は単に嫌味で言ってるんじゃないっスか? アイツ、結構陰気だし」

先ほどから間違えられまくられている男は、火野拓海という青年だ。
『.hackers』の代表取締役でもあり、各部門の統括を務めている。かつて彼らがプレイしていたゲームにおいては『ワイズマン』『八咫』『直毘』『楢』など、複数のアカウントを有しており、同時に運営であったCC社において、契約上のシステム管理者でもあった彼は、そういった有事に際し外部に調査機関を置く事を推奨した。
いわば二重スパイ。しかし当のCC社が倒産後はそのバックアップも無く、止む無く“彼の個人的資産で”会社を運営し、成長させていった。そういった経緯で生まれたのが、この『.hackers』なのだ。

「まぁまぁ、それでも僕らの上司なんだから多少は、ね?」

「……ともかく、早く行こう。サービス開始は13時、会社の方でも準備進んでんだから急がねぇと。他には誰が参加するんスか? 香住(クーン)とか、佐伯(パイ)とか」

「もう、普通に本名で呼んであげなよ。僕らはもう『The:World』を卒業してるんだから」

卒業――とはいえ、彼らがあの世界で過ごした時間はあまりにも長く、短く、そして濃密だった。
幾度もの出会いと別れを繰り返し、そしてその別れを繋ぎ、再会を紡いできた。
一度は破滅を阻止し、一度は世界を再誕させ、二度の破滅を阻止した。現実世界・電脳世界での彼らは、本物の英雄。そしてそれを知るのは、ほんのごく一握りの人間だけ。しかし、別に名誉が欲しくて行動したわけじゃあない。
ただ、『自分達の世界』『皆の居場所』『大切な人』
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