第三十九話 松田中佐!サーキットの狼!!その八
[8]前話 [2]次話
「そんな言葉何だよ」
「俺達には屁でもねえぜ」
「作者もそう言われてたしな」
「何ともないぜ」
「何度でも言え」
「勝負まで寝てるからな」
こう言って実際にだった。
二人は寝続けていた、その二人に観衆達も言った。
「起きろ、おい!」
「勝負前に寝るな!」
「そんなことしてるから嫌われるんだろ!」
「負ける分にはいいけれどな!」
同じことを選手達がしていた近鉄はその千葉監督の頃一シーズン一〇三敗した。実際に一シーズン百敗したチームがあったのだ。
「というか負けろ!」
「本当に負けろ!」
「そうなれ!」
「さっさとな!」
だが二人は勝負前まで寝てだった、そのうえで。
勝負開始一分前にだ、こう言った。
「よし、じゃあな」
「起きるか」
「そしてはじめるか」
「そうするか」
寝袋から出て言う、しかし。
その二人にだ、瞬がまた言った。
「よく寝てたわね」
「ああ、そうだろ」
「寝てた時間は短かったけれどな」
「熟睡したぜ」
「疲れは取れたぜ」
充分に、というのだ。
そしてだ、二人の前にだった。
フェラーリテスタロッサが二台来た、一台は赤でだ。
もう一台は青だ、それぞれのカラーリングをそのまま出していた。
「よし、フェラーリに乗ってな」
「今から勝つか」
「何度見てもフェラーリはいいな」
「最高の車だぜ」
「イタリアの車は違うぜ」
「格好いいな」
こう誇らしげに笑っていた、フェラーリを前にして。
しかしだ、観衆達はこう言った。尚武が乗ることになっている青いフェラーリテスタロッサを見てそのうえでだ。
「青いフェラーリって」
「あったか?」
「ないよな」
「赤だろ、フェラーリは」
「それか黄色だな」
そうした色のカラーリングだというのだ、フェラーリは。
「青いフェラーリか」
「それもテスタロッサ」
「そんなのないだろ」
「また強引なカラーリングだな」
「いいんだよ、そんなの」
「車の色はどうとでも変えられるだろ」
二人で観衆達に言う、尚武だけでなく尚智もだ。
「だからいちいち言うなってんだ」
「プラモだったら普通に青く塗れるぜ」
「だから気にするな」
「この作品はそんなこと気にしたら駄目なんだよ」
そうなのだ、この作品はそうした作品なのだ。作者が三行先の展開も一切考えずに書いている作品だからだ。
「青いフェラーリもいいだろ」
「もう気にするな」
「じゃあいいな」
「考えたら負けなんだよ」
「作者も考えないで書いてるんだからな」
「わかったらそこで納得しろ」
観客席においてというのだ。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ