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大海原でつかまえて
01.岸田の元に来たのは
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ちゃん……

「不測のアクシデントとはいえ、そんな比叡殿がシュウ殿と会えないというのは……このあきつ丸、忍びないのであります。自ら危険な役を買ってでた比叡殿には、なんとしてもシュウ殿に会っていただきたい」

 そこまで言われたのなら仕方ない。父さんと母さん、それに秦野の顔が一瞬浮かんだが、姉ちゃんのことが心配だ。僕で力に慣れることがあるのなら、喜んで力になる。

「分かりました。僕は何をすればいいんですか?」
「とりあえず、岸田殿と共に鎮守府に来ていただければよいのであります」
「分かりました。おい岸田?」

 僕は改めて岸田を見た。岸田は相変わらずポカンとした顔をしていたが、目に少し光が戻っている。この異空間に、少しは慣れてきたのかな?

「お……おぉおおお、なんだシュウ?」
「なんだじゃないよ……岸田、僕は行くよ」
「い、行くってどこへだ?」
「決まってるだろ。お前の“叢雲たんチュッチュ鎮守府”だよ。お前はどうする?」
「ど、どうするったって……」

 岸田は怪訝な顔であきつ丸さんを見た。あきつ丸さんは相変わらず、まっすぐな眼差しで岸田の方を見つめている。

「あ、あの……あきつ丸……さん?」
「はい、であります」
「行くって……」
「岸田殿が作り上げた、“叢雲たんチュッチュ鎮守府”であります」

 真面目な顔して言う名詞じゃないよなこれ……つーか岸田、改名するって言ってなかったっけ?

「ほ、ホントに? ウソじゃない?」
「ウソではないのであります。鎮守府では、あなたの分身たる叢雲たんチュッチュ提督が、あなたの到着を待っているであります」

 岸田は目をぐるぐるさせながら、自分のパソコンのモニターを指さした。なんかだんだんイライラしてきた……
「こ、このモニターの向こう側へ?」
「そうであります」
「俗に言う、二次元へ?」
「そうであります」
「俺とシュウが向こう側の世界に?」
「そのとおりであります」

 あーもうムカつく!! 行くのか行かないのかハッキリしろよ岸田!!!

「いや、つーかもう僕が決める! あきつ丸さん! 岸田も行きます!!」
「ちょっと待てシュウ! 勝手に決めるなよ!!」
「よく考えろ! 二次元だぞ?! お前、前から口癖が『フェイトそんは俺の嫁』と『あー二次元行きてぇ。リアルに』だっただろうが!!」
「た、確かに……」

 やはりだ。やはりこう攻めれば岸田は陥落する。

「よし決まり! あきつ丸さん!! 岸田も行きます。つーかむりくりでも連れて行きます!!」
「だからといってかってに決めるなシュゥウウウウウ?!」

 僕の決意、そして岸田の慟哭を聞いたあきつ丸さんは、安心したようににっこりと微笑み、目に涙を浮かべた。

「……よか
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