01.岸田の元に来たのは
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で、穏やかではない事態が起こりつつあるのが予想できる。
「岸田殿、橋立殿。“叢雲たんチュッチュ鎮守府”まで、ご足労いただけませぬか」
「うあああいいいあいああいあいい」
岸田、うるさい。……てことは僕と岸田に、あっちの世界に行けってこと?
「あの……何か問題でも起こったんですか?」
「はい。今は詳しくお話は出来ませんが……岸田殿の身に危険が迫っているのであります」
僕は反射的に岸田の顔を見る。今のあきつ丸さんの セリフを聞いた為か、岸田は口をあんぐりと開け、目を点にしている。
「お、俺に身の危険……?!」
「そうであります。元々は比叡殿もこの場に来る予定でありましたが……運悪く深海棲艦に遭遇し、比叡殿は囮役を自らかって出て、向こうに残ったであります」
その言葉を聞いて、僕の頭が真っ白になった。秋口の、比叡姉ちゃんと僕を極限まで追い込んだレ級とのあの戦いを瞬時に思い出し、僕は気がついたらあきつ丸さんの肩を掴んで揺さぶっていた。
「姉ちゃんが?!! 姉ちゃんは大丈夫なのか?!!」
「ゆ、揺らさないで欲しいのであります……!!」
「無事か?! 無事だったのか姉ちゃんは!!」
「ひ、比叡殿は我が鎮守府でも手練の一人……そう簡単には沈まないのであります……今もきっと無事かと……!!」
「無事なんだな! 姉ちゃんは無事なんだな?!」
「や、やめて欲しいのであります……!」
あきつ丸さんの言葉による抵抗を受け、僕は我に返り、あきつ丸さんの肩から手を離す。我ながら、今のは大人気なかった……
「ご、ごめんあきつ丸さん」
「気にしないで欲しいのであります。誰でも自身の姉が危機に直面していると知ったら、取り乱すものであります」
あきつ丸さんはそう言って僕に微笑みかけてくれる。よかった。少しは気が楽だ。
「……時間がありません。話を戻しますが岸田殿、来ていただきたいのであります」
「あ、あの……シュウ?」
「そして……個人的にですが、橋立殿……」
うーん……なんか橋立と呼ばれるのは違和感がある……
「シュウでいいですよ。みんなそう呼んでるし」
みんなじゃないけど……“超絶鈍感クソ野郎”って呼ぶ奴もいるけど。今秦野はくしゃみしてるんだろうなぁ……
「了解であります。ではシュウ殿。シュウ殿をお呼びするのは、このあきつ丸の独断なのでありますが……比叡殿に、シュウ殿を会わせたいのであります」
「へ?」
「比叡殿は鎮守府に戻ってから、ずっとシュウ殿の話をしていたであります。今日こちらに来てシュウ殿と会うことも、とても楽しみにしてらっしゃったご様子。作戦が決まった日から今日までずっと、あんなに楽しそうな比叡殿は見たことがなかったであります」
そうだったのか……姉
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