01.岸田の元に来たのは
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は比叡殿から常々。なんでも自慢の弟で、レ級に立ち向かった勇敢さを持ち……」
いや確かに立ち向かったのは事実かもしれないけど、戦ってたのは姉ちゃんだし、それは言い過ぎだよ。でも自慢の弟だなんて思ってくれていることは、嬉しいことこの上ない。
「お風呂あがりの比叡殿のあられもない姿を見ては憤慨し、時に比叡殿に甘えて頭を撫でてもらうのが趣味の、ちょっと甘えん坊な弟だと伺っているであります」
前言撤回。会うことはないだろうと思ってあることないこと吹き込んでいるようだ。それじゃまるてスケベ心丸出しで甘えるの大好きな五歳児みたいじゃないか……この憤り、どうしてくれよう……
岸田を見ると、あきつ丸さんの突然の来訪に頭が混乱しているようで、相変わらず白目をむき、口から泡を吐いて痙攣している。まぁ気持ちは分からないでもないけれど……
「……えーと、とりあえず座って下さい」
「はい。承知したであります」
僕があきつ丸さんに座るように促すと、あきつ丸さんは敬礼をやめ、再び腰を下ろした。この人はずいぶん真面目な性格のようだ。
「とりあえず話を聞かせてもらいたいんですけど……その前に岸田を正気に戻していいですか?」
「ハッ。むしろ自分からもお願いしたいのであります。自分が来た途端、岸田殿はこのように泡を吹いてピクピクと痙攣されており、まったく話が出来なくて困っていたであります」
この状態で僕に電話をかけてきたのか岸田……
その後、岸田のほっぺたに容赦なく平手打ちをかまし(実際にはぺしぺし叩いただけだけど……)、岸田を正気に戻した後、岸田のお母さんに頼み込んで、台所で3人分のココアを淹れさせてもらった。ココアを淹れて部屋に戻ってみると、岸田が再び白目を剥きはじめていたので、再度ほっぺたをぺちぺちと叩いて、こっちの世界に呼び戻した。意外と小心者だなぁ岸田。
「お前が腹が据わりすぎなんだよ!! 普通自分が楽しんでるゲームのキャラが目の前にいたらビビるだろ!!」
僕がこの状況でもビビらないのは、すでに一度経験済みだからなのだが、今はその説明は却下だ。あきつ丸さんにはホッと一息ついてもらうため、岸田にはとりあえず落ち着いてもらうため、僕は自分が持ってきたココアを二人に薦めた。
「比叡殿のおっしゃった通り、絶品なのであります」
「シュウ、お前のココア……うまいな」
姉ちゃんはそんなことまで鎮守府で自慢してたのか……そして岸田にそんなこと言われるとなんだかキモいぞ。
「ところであきつ丸さん」
「ハッ」
「比叡姉ちゃんは元気ですか?」
「そのことで、お二人にお願いがあります」
あきつ丸さんはテーブルに自身のココアを置き、まっすぐに僕達二人を見つめ、真面目な顔でそう切り出した。これだけ
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