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歌集「春雪花」
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 恋しきし

  淋しきわが身を

   包みたるは

 静けき冬の

    寒さのみなれ



 彼を恋しく想い続ける淋しい私を包み込むのは…冬の夜のしんと静まり返った、まるで芯まで冷やすような寒さだけだった…。

 なぜ想うのか…なぜ諦め切れないのか…。

 細い火では暖まらない部屋の中…答えのない自問を繰り返す…。



 初雪の

  とかすや雨の

   三冬月

 つもりし恋を

    とかすものなし



 浅く積もった初雪…それを溶かしてしまうように降り注ぐ、十二月の冷たい雨…。

 私の心へと雪のように少しずつ降り積もった彼への恋心は、初雪のように簡単に溶けもせず…ただただ大きくなるだけ…。

 いつかは…きっと何らかの答えを出さなくてはならない…。

 その時…私の心はやっと、解かれるのかも知れない…。

 もう暫く…彼を愛おしく想い、傍に居られる夢を見るだろう…。




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