3話 葛藤する殺人鬼(マーダラー)
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しながら言った。僕はそれに対し、当時最善の対応と思われる返答をする。
「そう?最悪かな?僕は自分の身の丈に有っているよ」
ミレーナは怒ったような目をして僕に言う。
「その言葉。リーナの前で言えるか?」
当時、リーナと急接近した瞬間だった為、僕が心変わりしたものだと彼女は思ったのだろう。
実際変わったのはリーナの立場で、僕の部分の変化は一切なかった。それをいえばめんどくさいので、僕は黙った。
言えないと言う意思表示も込めて。
当時隊長だったシリアさんに呼ばれて、全員が射撃場に集まった。
配属された女の子はやたらと髪の毛が綺麗に整えられていて当時、僕が堅苦しくて着たくなかったワイシャツを綺麗にコーディネートしていた。
「はじめまして。アーシャ・K・東です。よろしくお願いします」
目と髪の毛は黒く、僕と同じ日本人のように感じられた。
「お父さんが日本人。お母さんがロシア人のハーフです」
僕は父母のことを知らない。だからそれを聞いた時、彼女は恵まれていると感じた。
彼女は僕に持っていないものをいくつも持っていた。
戦場に必要な視力。生活の上で欠かせない炊事スキル。気品のある可憐さ。
それらは僕からしてみれば初めてのもので、すべてを羨ましいと感じるほどであった。
僕の感情を見ぬいたリーナは、
「人には人のいいところがあります」
と言ってくれた。それは当回しに、僕には炊事や気品が似合わないと言っているように聞こえた。
今、アーシャは腕立て伏せを行っている。
「29…さん!さん、30!」
ゴムナイフの模擬戦で、負けたほうがこれを行うというルールが有った。それで、リーナとアーシャが戦って、アーシャがボコボコにされたのだ。
「カリヒさん」
罰ゲームを見て休んでいる僕に、ミカエル教官が僕の戦闘結果を記録した紙を見てこういう。
「年齢はいくつですか?」
「18。今年で19」
僕はそう答えると。彼女は持っているペンのノック部分を額に押し当てて、考える素振りをした後に。
「強制禁煙です。部屋にある煙草を押収します」
「え?待ってよ!最近は吸う量を減らしているよ!?」
「そういう問題ではありません。煙草には有害物質がたくさんあります。タイムを見てみると、明らかに持久力が弱い事がわかります」
僕はその日から、煙草にありつくことができなくなった。
それを知ったリーナはにっこり笑い、
「良かったです。正直煙草って、臭いが嫌いなんですよ」
と言う。だったらもっと早くに言ってくれよと心のなかで叫び散らす。
……続く
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