暁 〜小説投稿サイト〜
殺戮を欲する少年の悲痛を謳う。
3話 葛藤する殺人鬼(マーダラー)
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、こんな感じで接してくれていたのかなと思って」
 「その息子は誰に殺された?」
 クロノスは考えなしに聞く。
 「いじめです。お金がないことをネタにされ、学校でいじめにあい、自殺を図りました」
 彼は苦い顔をした。
 「わかった。そいつらを殺せばいいんだな?」
 「いえ。息子をいじめた子供たちはもうとっくに亡くなっています」
 彼はその複雑な事情にこれ以上首を突っ込もうとしなかった。きっと、この女が殺し屋を雇って殺したのだと確信できたからだ。
 「このお金で。私を殺してください」
 彼女はそう言うと、クロノスは眉1つ動かさず答える。
 「わかった。でも俺を恨むなよ。俺は殺せと言われて金払いが良ければすぐにやるから」
 「はい。良いです」
 「心残りは無いんだな?」
 彼女は体にまとっている服を脱ぐ。
 「その前に、楽しみます?」
 「いらない」
 クロノスは先ほど盗んだトカレフを女の眉間に撃つ。即死なので、苦しみがない。
 彼はそれを選んだ。


 僕の右手は名も知らぬ兵士に引きずられている。足には殺したはずの飼い主が。締め付ける感覚が報いのようにつきまとう。これが僕の罪だと気付かされた時、僕は目を覚ました。
 「ゆ、夢?」
 リーナは僕の右手をがっちり掴んでいた。
 「あら?もう起きたんですか?」
 「ああ。起きるよ。今日も又特訓だ」
 「頑張ってください」
 僕は笑いながら答える。
 「君もだよ」
 作戦実行は来月。大統領、シャルラッハート・ワシントンを殺すために、僕らは血眼になって鍛えている。
 そう言えば、アーシャは最後の大きな作戦の前に入隊したんだよな。彼女は確かいいところのでだったはず。出身はロシアで、両親の死を切欠に奴隷になった。両親が死んだ原因はどうやらシャルラッハート・ワシントンに逆らったからだろ本人は言っていた。


 今から1年前。人手と銃火器がいつも通り足りない第三部隊カラーズ。僕らは先日正規軍を撃退した時の戦利品を回収して、換金し、武器を買った。
 「これだけみたいだな」
 サジはダンボールいっぱいの榴弾を台車に乗せて第三部隊拠点に持っていく。僕はM16を4丁背負い、運んでいる。するとそこにミレーナがトラックを持ち、待ち構えていた。
 「こんだけか。まあいいや乗せな」
 ミレーナは運転が出来ることを僕はその時初めて知った。
 荷物を載せ、僕ら2人はトラックに乗り込む。僕が前でサジが後ろ。じゃんけんで決めた。
 「なあ。カリヒ」
 ミレーナはトーンを落とし、運転しながら横目で僕に問いかけた。
 「どうしたの?酒の交渉?僕は上げないよ」
 「違うよ。今日から新しく又女の子が戦場に来るらしい。全く。女子供を戦わせる最悪な世の中だよ」
 ミレーナは歯ぎしりを
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