3話 葛藤する殺人鬼(マーダラー)
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す」
僕は両手のナイフの動きを止めた。
「どうやるんだ?」
「まあ。私の動きを真似ろとは言いませんが、極力頑張ってください」
彼女は両手にナイフを2つずつ持ち、口にナイフを掴む。そして右手に在るナイフ1本で藁の右腕部分を切り落とした。そして左手のナイフ2つを宙に上げ、1つを坂手持ちして、肘打ちと同じ容量で斬りかかり、左腕部分を削ぎ落とす。右手のナイフを2つとも空に上げ、口のナイフをつかみとり、右手に持ち替え、先ほど左手で投げたナイフを右手に掴み、そのまま突き出す。
その演舞を見ていると、時が移りゆく様が非常に鬱陶しく思えるほどに美しく、ずっと見ていたいと願うほどであった。
「左右で変則的な動きをすれば敵もかなり翻弄できるはず。試してみてください」
彼女は俺にナイフを渡す。
「えっと。どんな感じが良いのかな?」
「右手と左手。同時に動かして見てください」
僕は言われたとおり、右手で刺突、左手で斬撃を選んで行動してみた。
「うまいです。これを変則的に行えれば最高です」
その後俺は寮に戻る。するとリーナが僕の部屋の前にいた。
「ん?どうしたの?」
「いや」
彼女は深刻な顔を見せる。僕は無言で部屋を開け、彼女を中に入れる。
「その…カリヒさん。私達って暗殺部隊になったわけじゃないですか?」
言葉をつまらせながらも説明するリーナ。僕は彼女の髪の毛を耳にかけて、唇を重ねる。
「リーナ。何か思うことがあれば僕に相談しな」
すると彼女は少しだけ楽な表情になる。
「人を殺したくありません」
彼女は平和主義者だ。穏やかな性格で、飼い主に殺されそうになったのに、それでも飼い主を恨んでいない。僕はその時、リーナの飼い主を任務で殺し、彼女をこちらの世界へと引き連れてしまった責任がある。あのまま楽に死なせてあげればよかったのかなと思うほど、彼女は立派に死と戦い続けていた。
「元々、此処のレジスタンスの目的って、政治権の略奪なのにどうして武力行使に出るのかすごく疑問です」
「君には考えられないかもしれない。人が人を殺したいほど憎いと思う経緯を。リーナはもし、僕が目の前で見知らぬ男に殺された時どう考える?」
「…悲しいです」
彼女は少し間を置き考えた。いくら考えても、彼女は仇を取ろうとか、憎むとか、そんなマイナスな思考に至らないのだ。
「だろ。だったらそれでいいんだ。君はただ、感情を消費するだけに生きている僕とは違う。深く考え、先を読み最善の策を練る。でも、その考えだと、この時代に生きて入れないかもしれない」
彼女は悲しい顔を又見せた。
「私は、カリヒさんと一緒に居られればそれでいいです」
「だったら、殺したくないとか考えるな」
僕は優しく語りかける。
「ず
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