四話:救われる者、救われぬ者
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以上話せばボロが出ると悟り、口を噤む切嗣を見つめながらリインフォースは考える。
このまま消えることに後悔などない。魔導の器として最高の終わりを迎えられるのだから。
しかし、愛する主と騎士達と共に生きたくないかと言われれば迷うところだ。
望みを抱くこと自体が、彼女が機械ではない証明になり得るのだが、そこまでは考えない。
しばらく思考した末に彼女は答えを出す。
「いいだろう。その提案を飲もう。ただし、条件がある」
「内容次第だな」
ある程度の譲歩は仕方がないだろうと考え、頷く切嗣。
リインフォースはそれを見てゆっくりと条件を述べていく。
「まず、私の安全はお前が保証することだ」
「……構わない」
「次に、そちらの目的が終われば私を自由にすること」
「先程、言った通りだ。それよりも口約束でいいのか?」
「私はデバイスだぞ? 記録の保存など目を瞑ってでもできる」
次々と盟約化されていく条件。
切嗣としてもスカリエッティに全面的に従うということはするつもりはない。
利害が一致していれば裏切ることはあり得ないが、自分以外の誰かが犠牲にならないように、ある程度の配慮は見せる。
特に、口に出す権利がないと決めているが、切嗣にとってリインフォースは家族なのだ。
何よりもはやてと騎士達への償いの為に無事に送り届けるまでが彼のエゴなのだ。
「最後に私に―――人間としての幸せを教えてくれ」
「……なんだと?」
予想外の要求に目を丸くする切嗣。
それを理解できていないと受け取ったのかリインフォースは丁寧に説明する。
「そのままの意味だ。デバイスとしての最高の幸せは得た。ならば、次の私には人間としての幸せを得て欲しい。それとも、デバイスたる私には無理だと思うか?」
「そんなことはない。寧ろ君は…!」
―――人間じゃないか。
喉元まで出掛かったその言葉を飲み込んでリインフォースから目を背ける切嗣。
感情のあるものは道具ではなく人間だ。それが彼の持論だ。
故に彼女もまた人間として意識してしまう。だが、彼女は己を機械として認識している。
間違ってはいない。まさにその通りなのだから。
だから言えなかった。しかしながら、彼は納得できなかった。
何よりも、その人間であると認識する彼女を見捨てる自分を。
誰かを救うために契約をしたはずだった。
だというのに、早速完全な救いとはかけ離れた救いとなった。
これもまた、衛宮切嗣という男の愚かさ故なのかと自虐する。
「そう思ってくれるのなら私としても嬉しいよ。さあ、この条件をのむのか?」
リインフォースの言葉に切嗣は深く考え込む。
彼女が幸せを掴めるかどうかを悩んでいるのではない。
果
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