四話:救われる者、救われぬ者
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が、救われるのが自分と同じ顔をした赤の他人だと言われて頷く人間はいない。
切嗣の言動は最高の効率を求める行為に反しているのだ。
その理由を聞かれて切嗣は何とも言えない表情を作り出す。
「……ただ、黙っていてもいずればれると思ったからに過ぎない」
「そうか、では質問を変えよう」
リインフォースはこの手段ではいつまで経っても答えは得られないと悟り、手法を変える。
その雰囲気の変化に目敏く切嗣は気づくがどうすることもできないので何も言わない。
「お前は私に罪悪感を抱いているか?」
「……それは」
「答えはYESかNOでしてくれ」
口籠る切嗣にリインフォースはさらに追い打ちをかける。
切嗣は仏頂面をさらに渋めて、無言で小さく頷く。
その答えに満足げに笑い、彼女はさらに質問を続ける。
「お前は私に救われて欲しいのか?」
「……ッ!」
「私が一番聞きたいのはそこだ。嘘は許さないからな」
嘘は許さないと釘を刺されて押し黙る切嗣。
しばしの間、静寂が辺りを支配するが、リインフォースの純粋な瞳に負け切嗣が頭を抱える。
本心を言わなければ、彼女は交渉の場にすら立ってくれないだろうと悟ったからだ。
若干投げやり気味に切嗣は答える。
「ああ、YESだよ。僕は君を救いたい。この手で誰かを助けたという実感を得たい。別に君じゃなくてもいいんだ。これは偽善だ。そんな偽善だから、君を完全に救うこともできない。エゴすら満たせない愚かな願いだ。自分のことながら反吐が出るよ」
心底、毛嫌いしていると、手に取るように分かる顔をする切嗣。
だというのに、リインフォースは面白そうに、嬉しそうに微笑む。
彼女が何故そのような表情をするのか出来ずにますます顔をしかめる切嗣。
その表情に反対にますます楽しそうに笑うリインフォース。
「いや、結局は私のことに気を使っているのだと思うと嬉しくてね」
「何を言っている? これは僕のエゴだ。誰の為でもない僕の為だ」
「そうだろうな。だが、それでも素直に気を使われるのは嬉しくてね」
思えば、純粋に彼女の身を案じてくれたのは騎士達を抜けば、今代の主はやてと、切嗣ぐらいではないかと思う。
やはり、血の繋がりはなくとも親子とは似るものなのだなと思いながらリインフォースは笑みを深める。
口に出してもよかったのだがそれを言えば、切嗣は最低の父親だったと返してくるだけだろうと今までのデータから分かっていたので言わなかった。
「それで、こっちの申し出には乗ってくれるのかい? 尤も、断っても無理やりにでも救わせてもらうけどね」
「それならば、最初からそうすれば良かったものを。やはり、私に気を使っているのではないか」
「…………」
これ
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