四話:救われる者、救われぬ者
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言えど、夜天の書というハードに存在する一つのプログラムに過ぎない。
切嗣が行おうとしていることは簡単に言えば。
パソコンの中のあるデータをUSBにコピーし、別のパソコンに移し替える作業だ。
それを行えば元のパソコン、夜天の書が故障しようが大破しようがデータ、リインフォースは守られる。
「確かにそうすれば私の記録の全ては守られる。しかし、魔導の全ては失われるぞ」
「ああ、その点は気にすることはない。こっちの協力者は魔法に興味があるわけじゃないからね。機械でありながら人であるユニゾンデバイスの君に興味があるらしい」
「実験体として私を求めているのか?」
「否定はしない。だが、常識的な範囲での検査しかさせない」
スカリエッティは戦闘機人という機械と人の融合を研究している。
既に何体かの作品は仕上がっているが、彼にとっての研究は終わりではない。
より、機械らしく、人間らしいという矛盾した作品を作り上げることを望む。
その点で、機械でありながら人の姿を取り、感情を持つユニゾンデバイスは興味深いのだ。
「それを信じるかどうかは置いておくとしてだ。データを移し替えるのであれば私の体はなくなる。これではただのインテリジェントデバイスと変わりはしない」
「それに関してはこちらで君のデータを基に、体を、ユニゾンデバイスを復元させてもらう。一時的にデータとして窮屈な思いはするだろうが、すぐにそれもなくなる」
「なるほどな。しかし、私は再び囚われの身になる気はないぞ」
「あいつがどう思うかは知らないが、僕にそのつもりはない。解析が終わり次第、はやての元に返す」
はやての元に返すという言葉に初めて興味を惹かれるリインフォース。
常時の切嗣であれば相手を騙すための言葉であったかもしれないが今の彼にそこまでの余裕はない。
また、最低ながらも父親として何か一つでも償えないかと考えた結果でもある。
しかしながら、この計画にはある欠点が存在する。
「それとだ。これだけは言っておかないといけない。コピーを取ればそちらは無事なのは間違いないが……オリジナルのデータは、今ここにいる君は変わらず消える運命だ」
ここにきて初めてハッキリと苦悶の表情を浮かべる切嗣。
それは結局、自分には全てを救うことができはしないのかという憤り。
もしも、スカリエッティの申し出を初めの段階で受け入れていれば全てを救えたのではという後悔である。
「そうか……少し尋ねてもいいか?」
「……なんだい」
「どうして、それを私に伝えたのだ。お前の目的からすればそれを伝えることは目的達成の確立を下げかねない行為だ。理解しかねる」
もしも、悪魔の契約であろうと、それで自分が救われるのであれば結ぶ人間は多いだろう。
だ
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