暁 〜小説投稿サイト〜
ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
脱出-エスケープ-
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いて目を覚ましてくれた。自分の声になら、とまってくれるはずだ。
しかし、ヤマワラワにテファの声は行き届いていなかった。それどころかダイナに対する敵意を滾らせていた。
「グルアアアア!!!」
「ウグァ!!」
ヤマワラワの強烈な体当たりが炸裂した。いくら耐久力のあるストロングタイプといえど、そのパワーの大きさは凄まじかった。モルヴァイアとの戦いで光線技さえも使用し、ダイナのエネルギーも残り少なくなっていった。
現に、カラータイマーが赤く点滅し始めていた。
しかしここで力尽きることは許されない。ネクサスが、メフィストと怒りと憎しみを持って戦うシュウのことが、今は何より重要だった。
テファの声も届かない。
『テファ、ここは危険だ!何とか気絶で済ませるから、今のうちに逃げろ!』
テファに向けてそう呼びかけ、ダイナは再びヤマワラワに向かって足を繰り出した。しかし、今度の攻撃は通らなかった。ガシッとダイナの蹴りを受け止めたヤマワラワは
「なんとか…なんとかしなくちゃ…」
逃げろ、とは言われたテファだが、このまま逃げることは…できなかった。
確かに、自分は邪魔だと…シュウから言われた。
わかっていたことではあるが、ショックだった。確かに、自分に戦う力なんてない、あるのは、自分がいつの間にか持っていた、伝説の系統といわれた魔法。でも、敵を倒せるわけではないし、まして自分に生き物を殺すことなど…。
だけど、それ以上にシュウもヤマワラワも救いたい。そう思って彼女は、杖を取り出した。
自分の忘却の魔法でなら、解決への糸口を引っ張ることができるかもしれない。
彼女はすぐに、呪文を唱え始めた。


しかし、その様はメフィストに見られていた。
何か妙なことをしようとしていると、用兵としての長年の勘が囁いていた。
邪魔をさせてなるものか!ネクサスを蹴飛ばして距離を無理やり開かせたメフィストは、なんと…
彼女に向けて〈メフィストショット〉を発射した!
「フン!!」
「きゃ…!」
自分が狙われていることに気づき、彼女は詠唱を中断し、身を伏せた。
しかし、赤い光の影が彼女の前に入ってきた。
そして、その身をもって闇の光弾を自分が代わりに受けたのだった。
「ウグァ!!」
激しい爆発が起きた。恐る恐る目を開けると、自分の盾となって今の光弾を背中に受けた、ウルトラマンネクサスの姿があったのだ。
「…!」
テファはそれを見て驚き、そして…心に強い痛みを覚えた。
足手まといといいながらも、やはり自分を守ってくれている青年に対して、感謝もあったが、それ以上に…
自分が彼の言葉通り、足手まといとなっていること、そして…そのために彼が、よりぼろぼろにになっていることに。
(やっぱり私は…)
彼の言うとおり、なのかもしれない。
そう思っている
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