脱出-エスケープ-
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宇宙に夢を抱く宇宙人の少年…サイトの生きてきた地球でも装であったように、必ずしも出会ってきた異形の存在たちが人類に害をなす存在だったわけではなかった。そして、何よりテファがこんなことで嘘をつくような子とは思えなかった。
驚きを見せはしたものの、テファの言葉を信じ、彼女に向けて頷いた。
しかし、直後に起きた現実は、そんな希望さえも無情に打ち砕いた。
「グオオオオオ!!!」
「ウワアアア!!」
なんと、ヤマワラワは…こともあろうかダイナを殴り飛ばしたのだ。
「グア!」
突然テファが味方だと主張したヤマワラワに殴られ、顔を拭うダイナ。
「ハッ!」
ダイナは片足を上げ、ヤマワラワを蹴りつけ、少し仰け反ったところで、もう一撃拳を放ち、さらにヤマワラワに顔に向けて回し蹴りを放つ。すると、ダイナからの連撃をもらって逆上したのか、さっきよりも激しき咆哮を散らしたヤマワラワは、食らいつくようにダイナに飛び掛った。
まさに文字通りの獣。ダイナの上からのしかかったヤマワラワは、馬乗りの状態でダイナの顔を殴りまくった。
「ブルオオオオオオオオ!!!」
「グゥ!ウアア!!」
「…そ、…そんな……ッ!」
ヤマワラワが、シュウと初めて争ったときと同じように、今度はダイナに襲い掛かってきたのだ。テファは、再び今の現実が幻であってくれと願わずに入られなかった。
どうしてヤマワラワがこんなことを?
かつての面影を感じさせない暴威を振るいながら、ヤマワラワはダイナを殴り続けた。
(くそ!どういうことだ!)
テファが嘘をつくとは思えない。けど、今は彼女の証言とは魔逆のことが起きている。一体なぜだ?まるでこれでは、かつて自分が戦った…宇宙から飛来した悪魔の水晶体によって狂わされた…。
(ッ!待てよ…まさか!)
ダイナは×印に組んだ両手を盾にしながら、ヤマワラワの顔を見る。その目は、血眼のごとき赤色に光っていたのだ。
『まさか、光の勇者とあろうものが、むやみに人間と親しくなった動物を虐殺するのかぁ…?』
ふと、ダイナの脳裏に誰かからのテレパシーが届いた。その声に覚えがある。ヤマワラワにも注意を向けつつ視線を傾ける。その先には、ネクサスと取っ組み合っていた最中のメフィストがいた。
「て、てめえ…!!」
間違いない。このヤマワラワという怪獣、自我を支配されているのだ。ただ、目の前の敵を倒すためだけに操られた、悪意と殺意に満ちた邪悪な獣へと。
(許さねえ…!)
害の無い怪獣を悪鬼に変えてしまうなど、許されるはずが無い。
「デア!!」
ダイナはヤマワラワの背中を蹴り上げ、ダイナはヤマワラワによる馬乗り状態から脱出した。なんとかあいつを元に戻せないだろうか?
「やめて!やめてよヤマワラワ!!」
テファはヤマワラワを見て必死に叫んだ。あの時も自分の声を聞
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