脱出-エスケープ-
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倒した時のような、過ぎた容赦の無さ。
ネクサスも、メフィストも、どちらも自分たちを満たすためだけに、周囲など顧みていない。
その戦い方は今までとはまるで別人のようだった。もちろん恐ろしい意味で。それを見ていたテファは、さっきの拒絶されたショックを忘れるほど、その戦いと…その中心にいるウルトラマンネクサスを…シュウを恐れた。彼に言われた通り、この場を去ることも忘れていた。
「やめて…」
互いに互いをなぶり続けるネクサスを見ながら、思わず口にする。
「こいつはやばいな…!」
一方で、見事モルヴァイアを撃破したダイナも、ネクサスとメフィストの戦いを見て戦慄した。どうみても、こんなのはウルトラマンらしい戦い方とはあまりにかけ離れている。映像で見た、自分や…自分の仙台に当たる光の巨人と比べても、まるで獰猛な人型の怪物が暴れているようにしか見えない。これではどっちが悪なのかもわからない。
別段ふりというわけではないが、このまま見逃すのはまずい。
「シュウ、今助けるぞ!」
すぐに加勢に向かわなければ。駆け出したダイナだが…。
それに気づいたメフィストがダイナに向けて〈メフィストショット〉を放った。
「ハァ!!」
「ウワァ!!?」
胸元に一発くらい、ダイナは弾かれる様に吹っ飛ぶ。
「貴様にはそいつの相手でもしていろ」
メフィストはダイナに向けてそう言うと、指を鳴らした。
すると、ロサイスの町全体に地響きが発生、街の中央に地割れが発生し、地割れが口を開く。
(また怪獣か!?)
とっさに身構えるダイナ。すると、地面の裂け目から一体の怪獣が姿を現した。
「あれは…!」
その怪獣は、テファには見覚えがあった。
ドレッドヘアーのような毛、大きなサルやゴリラのような容姿、体中から生えた突起…。間違いなかった。
その怪獣は、かつてテファと共に遊んだことのある怪獣、『童心妖怪ヤマワラワ』だった。
「ヤマワラワ…」
まさか、このタイミングで彼がくるとは思わなかった。でも、それでも彼女にとってヤマワラワが現れたことは、驚きのほかにもうれしさがこみ上げた。怪獣とはいえ、かつてのよき顔なじみでもあるヤマワラワが来てくれた。淡い希望を抱きかける。
「アスカさん!待って!」
新手の懐柔かと考えたダイナがとっさに身構えたのを見て、テファはすぐさま叫んだ。
「その子は悪い怪獣じゃないわ!私の昔のお友達!!」
「!?」
アスカは、シュウたちに自己紹介をしたあの後、自分のことを話したほかにも、この世界や修たちの身の回りで起きた出来事を大まかに聞かされていた。ヤマワラワのそのうちの一つに入っていた。怪獣と共存した経験がある。それはアスカ自身にも覚えのあることだった。たまたま地球に近づいてきた人のいない星の中に取り残されていた黄色い毛並みの珍獣や、
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