脱出-エスケープ-
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い巨人へと姿を変えた。
メンヌヴィルが姿を変えた巨人、ダークメフィストがシュウを見下ろし、かかってこいと手招きする。
「…殺す…殺…す…!!殺してやる…!!」
迷うことは無かった。歯軋りを起こしながら、シュウはテファを振りほどこうとする。
「だめよシュウ!今、戦ったら…!!」
テファの中で激しい警鐘が鳴り響いていた。今シュウをあの黒い巨人と戦わせてはならない。もし戦わせてしまったら…。
「離せと言っているだろ!!お前こそ先に逃げたらどうだ!!」
しかし、シュウは完全に怒りを滾らせたままで治まる様子を見せなかった。だめだ、ここで彼を残しては、それこそ最悪の事態が起きかねない。
「シュウ…私もここにいる!」
テファが突然彼に同行を願い出た。一瞬、それを聞いたシュウは面食らったような反応を示した。危険度は想像もつかないほどであることは、何度も危険な目にあってきた彼女ならわかっているはずだし、今こうして目の前にいる男がどれほど危険な奴かも知っているはずだ。それなのに残るというのか。
「何を言ってる!お前はさっさとマチルダさんたちのところに戻れ!」
「でも、またあなた一人に危ない目にあわせるなんて…!」
シュウからも言われるが、テファはたやすく下がってくれようとはしなかった。だが、シュウは言い返す。
「お前と子供の頃深くかかわっていたとか言うあの妖怪が現れた時、俺を探しておきながら森の中で一時遭難したのを忘れたのか!?」
それは、テファにとって痛い言葉だった。確かにあの時、シュウの身を案じるあまり村に子供たちを残し、自分は村から離れた森の中で逸れてしまった。事態を混乱させたというべきだ。
さらに、シュウは納得しないテファに痺れを切らしたかのように、次の瞬間冷たい言葉と声を飛ばした。
「…お前がいるとかえって邪魔になる」
「……………え……」
「はっきり言う。足手まといだ…!」
「………ッ」
テファはそれを聞いた途端、呆然とした。
私が…邪魔?
これを聞いたとき、テファは自分の耳を疑った。それ以上に、その言葉を聞いてしまっていたら、マチルダさえも言葉が出なかったに違いない。
呆然とする彼女を、シュウは突き離し、目もくれずにエボルトラスターを取り出した。ふと、彼は足元を見る。辺りは炎に包まれ、少女の幻影をかたどっていたものなど無かった。
「…ぐ…うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
両手でつかんだそれを眼前に突き出し、両側にスライドさせるように、鞘から引き抜いた。
そのとき、エボルトラスターの刀身からあふれ出した光の中に、一瞬だけ…。
闇の波動が混ざりこんでいた。
その頃、マチルダたちは、ギルからアバンギャルド号に近づいてきた理由を問われた。
「で、お嬢ちゃんたち…わしらの船に
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