脱出-エスケープ-
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しい、白にも近い灼熱の炎を周囲に撒き散らした。
幻影とはいえ、遺体さえも、散り一つ残さず炎の中に消え去っていった。
幻影だからか、撒き散らされた血のあとなども跡形も無く光となって消えていった。
彼らの傍らに咲いていた、白く美しかった花も、奴の放った炎によって燃えカスと化していた。
テファは口を押さえた。吐き気がしたのか、それとも恐怖で声が出なくなったのかもわからない。ただ、残酷な光景を目の当たりにして開いた口を隠そうと両手が勝手に動いていた。
酷すぎる。外の世界をずっと見てみたいと、どこか心の中で考えていたテファにとって、あまりにも…残酷すぎた。
しかし、そんな彼女を現実に帰す事態が起きた。
まるで見せ付けるかのような、下卑た笑みを見せたメンヌヴィル。それを見た途端…
村がムカデンダーに襲われたときと同じように、
いや、おそらくそれ以上に、シュウの頭の中で…決定的なものが、
プツンと切れた…
「貴様ああああああああああ!!!」
激しい激昂だった。まるで音速とも取れる速さで彼はメンヌヴィルに近づき、その顔面を、金鉄バットでスイングをして見せたような勢いで殴りつけた。
殴り飛ばされたメンヌヴィルはそのまま石畳の上を滑っていき、誰もいない屋台に、ガシャン!と音を立てながら突っ込んだ。
それを見たテファは、恐れを抱いた。
今のシュウの顔は、見るもの全てをさらに戦慄させるほどのものだった。
まるで、彼がスペースビーストのように見えるほどだった。
「シュウ!!」
テファは今にもメンヌヴィルを殺しに向かう勢いのシュウを羽交い締めて動きを封じた。
「放せティファニア!!俺は、俺はあああああああ!!!」
いつも冷静さを保ち続けていたシュウの、今までにないほどの激情ぶりに、テファ自身も恐れおののきかけた。今すぐにでも目に映るものすべてをイライラを晴らすためだけに殺してしまえそうな、そんな恐るべき殺人衝動を肌で感じかけたほどだった。
「くくく、そうだ…もっと俺を憎め…恨め…それが…『俺たちの真の姿』へ導くんだ…より確実にな!!」
「わけのわからないことを…!!」
そんなシュウの憎悪に満ちた顔を待ち望んでいたのか、メンヌヴィルはかなり悦楽した様子で立ち上がるのだった。
「さあ、来いよ…そのまま憎しみと殺意に心をゆだね、俺のもとに来い。そしてとことん殺しあおうじゃないか…!最後に…」
口から流れ落ちた血を吐き飛ばし、さっきと同じ残虐な笑みを浮かべながら
「俺に、死体となった貴様の焼け焦げた臭いをかがせてくれ…!!俺から光を奪った…『あの男』と一緒になぁ!!!」
喚起に満ちた声でほえながら、メンヌヴィルはダークエボルバーを取り出し、そのまま炎のような黒い闇に包まれていき、黒
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