脱出-エスケープ-
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たのだ。レコンキスタの中にも自分たちの仲間を送り込み、自分たちの自由の翼であるアバンギャルド号奪還のこの日に備えていたほどだから、不可能ではないのだろう。
すでにアバンギャルド号は、炎の空賊団の船にふさわしく、炎を吹きながら、しばらくぶりに息を吹き返した。
「船長、これでいつでも行けます!」
「よし、嬢ちゃんたちとチビ共。振り落とされるなよ?
アバンギャルド号、発進!向かう先はトリステインだ!」
ガル船長の発進宣言とともに、アバンギャルド号はついに、空へ飛び立ち始めた。かつて盟を結んでいたウェールズと深い接点のあるトリステインの方がよいと思ったのだろう。
時間をほとんどかけることなく空に浮かび、トリステインの方角に向かった。
「グゥオ!!」
カラータイマーの点滅が早まってきた。そろそろ何とか決着をつけておきたかったダイナ。
…どうする?さっきまであれだけのだけ気を加えたというのに、ヤマワラワは倒れる気配を見せなかった。まるで痛覚さえも失ったように、ただ狂ったように暴れてつづけ、ダイナを襲う。
これ以上はストロングタイプのままでいるとエネルギーを浪費してしまう。ダイナは元の標準スタイルであるフラッシュタイプに戻り、一気に片を付けようと両腕を十字型に組んだ。
…が、そこで彼は止まった。今光線を撃ってどうするのだ?そもそも、あの怪獣はテファの…!
(くそ…!!)
本来はテファの大事な友達にして心優しき怪獣、その事実がダイナの腕を鈍らせてしまっていた。光線技でなら確かにこの戦いを終わらせることができるかもしれないが、そんな非道な勝ち方…アスカ・シンとしても許しがたいものだ。
だが、他に打つ出がない…。こんな嫌な形の戦いなど二度とあってほしくなかっただけに、ダイナは苦悩した。
しかし、直後に…ダイナを更なる苦悩に陥れる事態が起こる。
ネクサスとの戦いで高揚感に浸るメンヌヴィル、メフィストだが…ここで彼の脳裏に、女性の声が轟く。
『あなた何を遊んでいるの!今だって虚無の娘にまで攻撃を仕掛けるなんて…さっさと虚無の娘を回収しなさい!』
シェフィールドの声だった。おそらくガーゴイルを使い、メンヌヴィルが頼まれた仕事を約束どおりこなしているかを確かめにきたのだ。
『おっと…すまんすまん、つい血が滾ってしまったわ』
水を刺されて機嫌を悪くすることは無かった。よほどネクサスとの戦いが楽しかったらしい。しかし、シェフィールドは、まったく詫びれもしないこの男に対して露骨な不快感を覚えた。
やはり、こんな危険な奴に頼ったのは間違いだったかもしれない。黒いウルトラマンの力を持ち、ただ己の殺戮衝動を満たすためだけに戦う最低最悪の男。テファを確実に懐柔するための強い要素でもあるヤマワラワも、ネクサスとの一騎打ちに打ち込むためだ
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