脱出-エスケープ-
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と…ネクサスの巨大な手が彼女を覆った。すっと優しく自分の手の中に収め、光線〈セービングビュート〉を使い、彼女を港にいるマチルダたちの下まで飛ばした。
「マチルダさん、ティファニアたちを連れて、先に逃げていてくれ…」
激しい殺意の奥に、僅かに残った良心からの願いを口にし、再び戦いに身を投じたのだった。
テファがアバンギャルド号のマチルダやガル船長らの前に転送され、マチルダがすぐに彼女の元に駆け寄った。
「テファ!まったくこの子は心配かけて…!」
強い心配の思いを口にし、彼女をぎゅっと抱き寄せたマチルダ。しかし、テファの様子がおかしい。何も返事が来なかったことに対して奇妙に思い、彼女の顔を見てみた。
「私は…足手まといなんだ…」
「!」
テファへの十年以上もの間、愛を持って養ってきたマチルダの身としては、こんな姿は見たくなかった。こんな、精神的に弱り果てた彼女等…愛ゆえに苦しくなった。
(ったく、あの状況じゃあいつの判断が一番利口だったからいいんだけど、後であのバカを叱り飛ばしてやらないと気がすまないね…)
冷静に考えれば、シュウの考えは理解できるのだが、それでも…テファへの愛情と子供たちの未来を糧に盗賊稼業という仕事を続けてきたマチルダにとって、納得することも許すこともできないものだった。できることならあの時、今までのシュウの異常さに対する不満を込めて、思い切り殴りかかってやりたかった。
「フーケさんよ、あんた…大丈夫か?」
駆けている最中、ギルが話しかけてきた。
「あ?」
思わずマチルダが、女性とは思えないほどのドスの入った声を返した。
「いや、その…悪い、なんでもねえ」
そのプレッシャーに押され、さすがのギルも怯んだ。今の彼女には必要以外のことは話しかけないほうがよさそうだ。
「…お頭、どうしますか?巨人たちがあんなに暴れているんじゃちと危ないですよ」
話を切り替えるように、クルーの一人がガルたちに話しかける。
一方で、ガル船長は視線をある方へ向けていた。銀色の巨人の方を、ただまっすぐ。
すると、さっきまで空賊たちに怯えていたエマが、顔を出してガルたちに正面から訴えた。
「おじちゃん!シュウ兄を助けて!」
「エマ!?」
「あの巨人さん、私たちのお兄ちゃんなの!ずっと私たちを守ってくれた大事な人なの!」
「あの巨人が…お前さんたちの?」
「ば、馬鹿いうんじゃないよ!あいつが…」
こいつらに、あの銀色の巨人たちが知り合いだなんて誰が信じるだろうか。しかも助けろだなんて。マチルダは船を奪い取ろうとした自分たちのいうことなど聞くはずがない。
「…お嬢ちゃん、アルビオンから抜け出したいか?」
しばらく閉ざしていた口を、ガルが開いた。
「あぁ…そうだよ」
「わしらとしても、あいつらにうろつかれると
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