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ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
脱出-エスケープ-
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りなら、この少女は紛れもなくシュウの、地球で暮らしていた頃の知人だ。警戒心の強い彼のことだから、そもそも異世界の人間がここに来るなんて普通じゃないこともあって銃を向けているのだろう。だが、まさか…死んだと彼が断言する人間が、こうして彼の目の前に現れているなんて。
「ッ!もしかして、怪獣が…」
先刻、シュウやアスカの話で、幻影を見せるという怪獣の話があったはずだ。だとすれば辻褄が合う。
事実、アスカがつい先ほど話していた、人間に幻覚を見せる怪獣が現れている。
それにしても、彼の顔をあれほど悲しみに満ちたものに一変させられる人がいたなんて…。テファは心なしか、少女とシュウの二人を見て、心がどうしてか、胸にチクリとした痛みを感じた。


「なるほど、貴様がやたら堕ちることができないのには…その小娘のせいか?」


「「!」」
二人は、その声の聞こえた方を向く。できることなら、もう二度と聞きたくなかった声。
「お前は…!」
そこに現れたのは、メンヌヴィルだった。以前と同じように下卑た笑みを見せた。それが煮え湯を飲まされたような不快感を二人に与えた。
「未練たらしい。まったくもって愚かしいものだな。こんなものに縋っているから、貴様はいまだに本当の自分を認められないのだ」
愛梨の幻影を見て苦悩する姿を、この男も見ていたのだ。だが、それに対する感想は、まるで駄作映画をフルコースでも見せられたかのような、いやそれさえも、この男との会話と比べたらずっとマシに思えるくらい、実に不愉快なものだった。
「貴様と俺は、所詮血の匂いでまみれた者同士。清涼剤程度では消しきれないほどの血のにおいがな。だからよぉ…」
残虐極まりない笑み。それを浮かべた途端、メンヌヴィルはある方角を見る。シュウとテファ、そして自分の間に立っている、少女の幻影だった。
「まさか…見えてるの…?」
子供たちには見えていなかったはずだ。自分でもどうして見えているのか、その理由はわからないが、自分たちとは特にこれと言って接点が見当たらないこの男がなぜ見えるのだ?もしや、あの男の能力によるものなのか?
だが、メンヌヴィルはそれには答えようとしない。
「綺麗な思い出など、汚れた俺たちには…」


「!や…やめ…!」
やめろ!と強く言おうとしたが、間に合うことは無かった。
メンヌヴィルが取り出した鉄製の杖が振るわれ、愛梨の幻影に降りかかった。
そして…。


「必要ない」


……!!


その光景は、二人にとってあまりに衝撃的だった。それも、この世で最も残酷な意味の衝撃だった。
愛梨の体は、棍棒に殴られたように、二人の目の前で砕け散り、石畳の上に血を撒き散らした。しかもそれだけに終わらなかった。卑劣にもメンヌヴィルは杖から、『白煙』の二つ名にふさわ
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