第3章 黄昏のノクターン 2022/12
25話 赤く巨大な魔物
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に大木に角を穿った瞬間を目安に俺とヒヨリは二手に分かれて左右から挟撃する。既に知れている情報であれば必要以上に恐れる道理はない。
「シェアアアアッ!」
「やぁぁッ!」
左右の逆袈裟に加え、巻き込むような回転を加えての横薙ぎ、回転の勢いを殺した姿勢から踏み込みに移行して剣閃の交点を目掛けて繰り出す突き、片手剣四連撃《アステリスク》が刻む六枚の花弁のような赤いダメージエフェクトがレクステリウムの脇腹に刻まれる。反対側からもヒヨリが繰り出したであろう連撃がクリティカルヒット特有の炸裂音を響かせている。
本来ならばこれで距離を置く。だが、まだ終わらない。終わらせない。
「そろそろですね………行きますよ!」
レクステリウムが四肢に力を込めて身体を起こした瞬間、ティルネルの声が森に響き、引き絞っていた矢を放つ。薄緑のライトエフェクトを纏って空を切り裂く一矢は、《レイニアスピーク》という弓術スキルの重攻撃技に該当するものだ。
矢は吸い込まれるようにレクステリウムの鼻を穿つ。次の瞬間、大気を揺るがすほどの重い悲鳴が張り出され、後ろ足で立ち上がったかと思えば前足を顔の前で振るって矢を払おうと応戦する。熊の弱点が鼻筋であると何かで聞いたことがあったものから試してみたのだが、精々怯む程度だと考えていたものを大幅に超えた結果に驚愕を禁じ得ない。
そしてすかさず、レイとリゼル、ニオとクーネがそれぞれ二人一組で駆け出す。彼女達が片足づつ狙って転倒させる算段なのだろう。誰が言い出さずとも仲間の特性を理解して先んじて行動するというのは連携における一つの極致だ。加えて、命を最優先とする慎重さと好機を逃さない、大胆さを併せ持つクーネ達のスタンスは頼もしいことこの上ない。
「ヒャッハァァ!!」
「はぁぁッ!!」
「そーれ、っと!」
AGIの都合から、地面を舐めるような低さで疾走するリゼルが先手を取り、右足を目掛けて擦れ違い様に短剣を躍らせる。膝下に刻まれたダメージエフェクトから四回は斬り付けたことになるが、ソードスキルによるものではない。通常攻撃でありながら、速過ぎる。恐らくは現在の最前線を探してもこれほどの使い手は見られないような気さえする。
続いてレイとクーネがそれぞれの足を目掛けてソードスキルを繰り出す。クーネは左足に《スラント・アーク》による二連撃を放ち、二撃目の踏み込みを利用して即座に距離を置く。
対するレイは第一層ボス攻略において俺が付け焼刃で使用した単発技《ペネトレイト》であったが、やはり本職といったところか。速さも重さも段違いの刺突は地面に踏み止まった右足を素早く穿ち、瞬く間に引き抜かれる。
嵐のような連撃が過ぎ、たまらずたたらを踏みつつも踏ん張る左足には、今
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