第3章 黄昏のノクターン 2022/12
25話 赤く巨大な魔物
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する相手に攻撃しようとはしない。初見の相手には先ず情報収集だ。いつ解除されるか分からないような硬直に飛び込めば返り討ちに遭うことさえ想像に難くないのだ。ちなみにティルネルはヘイトを変動させない為に攻撃を控えてもらっている状態だ。
十秒、二十秒と時間は刻々と過ぎ、三十秒を数える頃にレクステリウムは咆哮を森に木霊させる。ブレス後の硬直はそれなりに攻撃のチャンスに為り得るらしい。予備動作も追尾性を有するものの緩慢で回避に手間取るほどではないように見受けられるが、ダメージ量は相当なものだろう。多段ヒットの火炎ブレスが五秒間も放射されれば、壁ビルドであるニオでさえ到底堪え切れないだろう。隙を狙うのはリスキーかも知れない。
次いで、レクステリウムは頭部を低く構え、角を突き出す姿勢で突進を始める。かなり始動の早い動作で繰り出されるものの、こちらは遮蔽物で対応が出来るはずだ。ヒヨリとティルネルと共に大木の裏に隠れ、自爆を待つ。これから少しづつ反撃に移行しようと、やや期待の籠った心境での待機であったが、我ながら生温い打算は容易く打ち砕かれることとなる。
「ぎゃああああああ!?」
「に゛ゃあああああ!?」
「いやああああああ!?」
突然、幹から延びた鋭い何かが俺とヒヨリを分断。それがレクステリウムの額からそびえる角であると理解した時、俺達は三者三様に絶叫していた。よもやフィールドのオブジェクトを破壊するほどの一撃など誰が想像できようか。
「退避! 退避ーッ!?」
有らん限りの声を振り絞って叫び、形振り構わず大木の影からヘッドスライディングで逃走。即座に起き上がって後方を見遣ると、力任せに角を袈裟に薙ぎ、幹を引き裂くレクステリウムの姿があった。軋みをあげながらゆっくりと傾く木の向こうで爛々と目を輝かせる姿は恐怖を禁じ得ない。しかし、荒く息を吐いて動こうとしない。木を遮蔽物として利用するのは間違いではないようだ。この間に距離を取り、こちらも態勢を整える。
観察した結果として、突進の硬直には三十秒と少しだけの猶予があるらしい。但し、大木に突進を誘発させた場合なので、それ以外はこの限りではない可能性が高いが、情報は十分に揃った。攻撃の糸口さえ知れれば、攻撃に転じることも可能だ。攻めに焦って反撃さえ貰わなければ対処の仕様はあるだろう。
レクステリウムを挟んだ反対側ではクーネの指揮の下で情報が整理されている。基本的には俺の見解と同様らしく、大木を遮蔽物に配して付近に泉が存在する位置で戦闘を行うという方針を固めたらしい。
こちらの準備が整ったのも束の間、レクステリウムは再び角をこちらに向けて突進する。下生えをへし折りながらの吶喊は迫力満点だが、直線的に迫ってくるならば対処もしやすい。ティルネルに指示を出し、先程と同様
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