第十八話 プールですその十三
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「そのつもりだけれど」
「やっぱりね。いいなあ、神戸なんて」
「いいの?」
同じ寮生の娘の言葉に顔を向けました。
「だって。私なんて大阪よ」
「大阪だったら近くていいじゃない」
「大阪。柄悪いから」
それで有名ではあります。確かに神戸と比べると柄が悪いかな、なんて思ったりもします。私のいる長田は下町なんで上品じゃないですけれど。
「普通に横山やっさんみたいな人がいるのよ」
「やっさんてあんた」
「また随分古いわね」
皆そう言います。私も正直その名前はかなり古いと思いました。横山やすしさんって言われても。私はあの人の漫才はじかに見たことありません。西川きよしさんとの黄金コンビだとは聞いています。
「そうじゃなかったら西川のりおさん」
「ああ、あの人」
西川のりおさんはわかります。
「何か素顔はかなり厳しいらしいわね」
「そうなの。あれで」
確かにそう思いますけれど。何でもかなりおっかない人と聞いています。これはチャーリー浜さんもそうらしいです。何かあの人達みたいな人が難波には普通におられるってイメージがあります。
「ああした感じなのよ」
「大阪そういえば大教会もねえ」
「多いわよねえ」
「私のところもそうだし」
奥華も大阪にあります。
「奈良が多いのは当然だけれどね」
「まあそれはね」
「それでもやっぱり大阪多いわよねえ」
「教会もね」
「で、私の家はその中の一つなのよ」
また彼女が言います。
「何か下品なのよね」
「マグドって言葉とかね」
「ああ、あれね」
あまりにも有名なこの言葉。大阪というか関西全体で使われている言葉です。けれどこれって大阪だけじゃなくて私のいる神戸でも使われますけれど。
「あれが下品って言われるのよ」
「偏見よね、それって」
「ねえ」
皆そう言い合います。おぢばもマグドだった筈です。
「それよりも東京の」
「そうそう」
東京のことを言いだしました。
「あのマックっていうの?あれの方が」
「嫌よね」
「それもかなり」
こう言い合います。
「何よ、気取って」
「あの言い方は好きになれないわよね」
「そうそう」
「けれどねえ」
ここでまたその大阪の娘が溜息混じりに言うのでした。
「そうは言っても実際に何か下品なのよ」
「ざっくばらんじゃなくて?」
「下品でしょ、あれは」
けれど彼女は言います。
「大阪だと」
「別に気にすることないんじゃないの?」
私はこう彼女に声をかけました。
「そこまでは」
「そうかしら。何か凄い気になるのよ」
「だから気にし過ぎよ」
「けれど」
どうしても気になるみたいです。どうにもこうにも。
「やっぱり。どうしても気になって」
「そうなの」
「他の場所はどうかしら
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