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自作即興・短編小説まとめ
三人 称の区別

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ある日を境に彼女は僕の前から消えてしまった。
もしかしたら消えてしまったように思っているだけなのかもしれないが、既に一週間以上経っている。
これはもう失踪したとみて良いんだろう。

この日から何故か周りが嬉しそうにしていた。
僕には理解が出来ない。なぜ彼らは彼女が消えたにもかかわらず何も悩んだり落ち込んだり、慰めもしないのだろう。
ただ微笑み、良かったねと話すだけなのだ。

いつも行っていた病院でも、今日で終わりとなった。薬は棄てろとも言われた。
なんとなく、僕自身も少し嬉しがっていたような気がする。
俺にとって大切だった、兄妹とも言える様な彼女の失踪を喜んでいたことに、自傷したくなった。

学校でも少しずつなじめるようになった。
物忘れも徐々にマシになってきた様だ。
しかしいつも彼女の事を忘れられないでいる。
何処かに居るはずなのに、もう死んだような気分だった。
彼女は居ないのだ。多分恐らく。
俺が彼女について考えるのは、この先ないだろう。



僕にはそろそろ気付いてほしかった。
まず、何故彼は彼女についてあまりにも軽視し過ぎていた。
いつの間にか消えていた? 失踪なんかしていない。
彼女は死んだのだ。
彼は彼女を殺した犯人と言えるし、彼女は彼の双子の存在としても見れるのに。
それほどまでに近かったのに、もう忘れているだなんて。

正直、僕には怒る以外の行動を行えそうになかった。
夜中に起きて、彼の日記に文章を書き残す。
これは遠回りの通報でもあり、俺にとっての審判でもあった。

この僕という人物は、俺である、そして、彼女のまた、俺である。
それは一人なのだ。
そして消えてないのだ。
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