瑠璃色の死神ー後編
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「死神」俺がラピスと出会った頃から彼女はそう呼ばれていた。青黒いローブを纏い鎌を持つその様はまさしく死神であろう。
彼女とすれ違った者は皆口を揃えて死神と呼ぶ。けれど俺には、彼女がそんな恐ろしい何かだなんて思えなかった。
◆◆◆
今の状況を整理しよう。ラピスVSゼロのデュエルが勃発しました。終わり。
そんな一文で終わる状況説明をしてみたがそのデュエルの内容もまた一文で説明できる程の内容だった。
「参りました」
デュエルが始まるなり早々ゼロは頭を地面に擦り付け降参した。その無様な姿を見たラピスは何とも言えない表情をしている。呆気ない。まさしくその一言が相応しい状況であった。
謎の空気が辺りを包んでいる中、ゼロは逃げる様にその場を後にした。
「何だったんだ」
「さぁ?」
俺が呟くとラピスも鎌を仕舞いながら首を傾げた。
まぁ何はともあれ事なきを得たことだ。これからまた探索の続きとなるだろう。
「んじゃ行くか」
「そうだね」
俺の言葉にラピスが頷くと先陣を切って歩き出す。俺はいつも通りその後ろをトボトボと着いていくだけだ。
ふと視線を感じ振り向く。しかし、そこには人の姿は見当たらなかった。
「ファル?行くよ?」
「ん?ああ」
ラピスの急かすような口調に慌てて彼女の後を追う。しかし、未だに粘り気のある視線が後ろに張り付いている気がしてどうにも落ち着かなかった。
◆◆◆
それからというもの特にこれといった事もなく本日の探索は終了となった。明日の探索が有るのかどうか分からないが。
夕方。迷宮を抜けてきた俺は思い切り体を伸ばした。体を伸ばすと秋の夕暮れの涼しい風が全身に当たり歩き疲れた体に心地よい。生憎曇り空だがその分風の涼しさをより一層感じる事ができる。その心地よさに身をゆだねているとラピスから後頭部をはたかれた。
「痛ぇよ」
ラピスを睨みつけるとその顔の不自然さに気付く。不自然さというよりも違和感といった方が正確かもしれない。いつもだったら俺の文句を笑ってごまかすのに今回は不機嫌そうな顔でじっとしている。
恐らく溜まっているのだろう。ストレスが。発散相手が即棄権したのだから無理もない。
じっとしていたラピスがふと我に返ったかのように僅かに震えた。
「ごめんごめん。それで晩御飯どうする?」
「なんで自然に一緒に食べる流れになってるんですかね?」
「気にしない気にしない」
俺の疑問をラピスが笑顔で宥める。そんなやり取りの最中に気になる会話が耳に入ってきた。
「最近死神が現れたとかいう噂あるんだけどあれマジなの?」
「俺が聞いたのは死んだっていう噂だったぜ?」
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