瑠璃色の死神ー後編
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ってくる様子もない。
流石にもう大丈夫だろう。そう思って剣を鞘に納めようとしたとき、背中に鈍い感覚を覚えた。
「後ろががら空きだぜ。クヒヒ」
奇妙な笑い声を間近に受け、俺のHPゲージが僅かに減少する。だが、問題はそこではない。HPを示すバーの下に状態異常麻痺を示すアイコンが表示されている。
攻撃を受けて間もなく、俺は立っていることすら不可能な程の痺れを全身に感じ、その場に倒れた。
◆◆◆
ソードアートオンラインにおける麻痺という状態異常は他のゲームの麻痺と比べるとかなり重く設定されてある。通常のゲームではときどきに行動できないだとか、移動が遅くなるといったちょっとした嫌がらせのような物が多いだろう。それはそれで馬鹿に出来ない事なのだが、SAOはその比ではない。SAOにおける麻痺は一定時間全行動の禁止。より正確に言えば、右手のみある程度動かせるような状態になってしまう。その分持続時間も短いのだが、戦いの世界においてその僅かな時間でも命に関わる問題に直結するのだ。
「……」
声すら出せない。地面に横たわっている俺は新たに現れた男によって蹴り飛ばされる。実ダメージは無いものの、先程倒れた衝撃で落としたのであろう俺の回復アイテムから遠ざかってしまった。これではアイテムによる麻痺の回復は望めないだろう。声も出せないのだから助けを呼ぼうにも呼ぶことは出来ない。いよいよを持って本格的な命の危機である。
「紅い流星の最後も案外呆気ない物だなぁ!ま、この状況になったのも運が良かった所も有るんだけどな」
ヘラヘラ笑う男はまるで独り言の様に続けた。
「ガルドの奴が俺の指示もなくお前に襲いかかるからどうなるかと思ったぜ!本当は二人で始末する予定だったんだけどな。ま、お前がガルドに気を取られていたから難なくこのナイフを刺せたけどな」
おそらくガルドと言うのは最初に俺に襲いかかってきた奴の事だろう。こと二人目の台詞から二人はグルであることが伺える。
その男はナイフを手に取り、横たわっている俺の眼前に突きつけた。
「特製の痺れナイフだ。耐性の無い奴はこいつで一発よ」
そこまで話した男は更に片頬を吊り上げ、嫌らしい笑みを見せた。
「こいつによる麻痺は特性でな、通常の麻痺よりかなり長時間長続きするのよ。んなもんだからじっくりとお前をいたぶれるわけだ」
そう言うや否や男は背中からかなり大振りの剣を取りだし、俺の背中に叩き付けた。
「っ……」
俺が声にならない叫びを挙げ、HPが2割程削られる。俺の反応に面白い所でも有ったのか、男は声を出した笑いながら2撃目を放った。その攻撃によって更にHPが2割削られる。
両手剣は武器その物が重いだけあって一撃の威力も
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