瑠璃色の死神ー後編
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な」
素直にそんな感想が漏れてきた。どこがどううまいとか表現出来ないがとにかくうまかった。
「そっか。それは良かった」
そう言ってラピスは微笑むと自分もカレーを口に入れた。自分で作ったカレーが余程美味しかったのか嬉しそうな顔をしている。
そんなラピスをまじまじと見ていると彼女が首を傾げた。
「どした?」
「何でもない」そう答えればそれまでだったであろう。しかし、今はそうするわけには行かないような気がした。
「幸せそうだな」
「まぁ、自分で言うのも何だけど美味しいからね」
俺の質問にラピスは少し言い辛そうに答えた。しかし、それは俺が望んでいる答えとは違う。
俺が無言で首を横に振ると、ラピスは「じゃあ何?」と言いたげに首を捻った。
俺はそれに対してできるだけ真面目な顔で回答する。
「普段の話だよ」
ラピスは何の話か分からないと言った様子で更に首を傾げる。だがしかし、先程までのそれとは違い今回は分かっていてあえてそうしている様な気がした。
「だって……お前は……」
そこまで言った所でラピスの手に口を塞がれる。わざわざ身を乗り出してまで来たようだ。俯いている彼女の表情は読み取れない。どうやらこの事は禁句らしい、なら無理に掘り返す必要も無いだろう。
俺は彼女の腕を優しくどかした。俺にあの先の言葉を発する意志が無いことが分かったのだろう、これまでの話題を逸らすように話を切り出した。
「さっきの質問。ファルにとって私は何なのかって質問。まだ答えてなかったね」
確かに、そんな質問をした覚えが有る。何だかんだでうやむやになったものだとばかり思っていたが。
「そうだな」
穏やかな表情、優しい声音で言われた俺には頷く事しか出来なかった。僅かな沈黙を経てラピスはゆっくりと口を開いた。
「君にとって私がどういう存在かは分からないから私にとって君がどういう存在かっていう回答で良いかな?」
ラピスが俺の事を知っているはずもない。ならばラピスが答えられるものとしてはそれが限界だろう。
「そうだな。それで頼む」
俺の答えにラピスが頷くと続けて覚悟を決める様に深呼吸を始める。そして何かを伝えようという目でこちらを見据えた。
「まず最初に言っておかないといけないのは私たちは友達なんていう関係では無いことは分かってるよね?」
「そうだな」
ラピスの問いかけに即座に答える。俺にとってラピスが友達であるならば何も悩む必要などない。友達という関係一つで行動を起こす理由になりえる。「友達だからあげる」「友達だから仕方ない」等、友達という関係はとても太い繋がりであると俺は思う。俺とラピスはそんな関係ではない。ラピスだから
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