瑠璃色の死神ー後編
[5/17]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
いから不思議なのだ。彼女が死神たる片鱗を見せるのは対人戦のみ。その戦いぶりを見たものからは死神と呼ばれても仕方ないとは思うけれど、やはり普段の彼女を知っていればこそラピスを死神等と呼べないのではないだろうか。
「なーに考え事してんの?ボーッとしちゃって」
いつの間にか目の前にいたラピスに額を人指し指で小突かれた。何か有った訳ではないが俺は咄嗟に言い訳を捲し立てる。
「すまん、少し眠くて」
「嘘はいかんよ。ファル君」
ラピスが大学の教授の様な口調で言うとまた額を小突いた。
「嘘かどうかなんて分かんないだろ」
俺はつつかれた額を擦りながらそんな抗議をしてみた。だがラピスには通じなかったようだ。
「私にあの程度の嘘は通じないよ。分かってるでしょ?」
ラピスの言葉に返す言葉も無かった。全くその通りです。
どうやら俺は焦って冷静な判断が出来ていないようだ。一旦心を落ち着けるべくため息を吐いた。
冷静になって考える。どうやらラピスには隠し事は通用しないいらしい。俺は腹を括って彼女を見据えた。
「俺にとってラピスはどんな存在なんだろうな」
僅かな沈黙その後彼女は声を出して笑った。
「アハハハ。そんな事か」
「そ、そんな事って何だよ!だ、大事だろ」
ヤバイ。ちょー恥ずかしい。多分顔とかスゲー紅い。
俺の反応を見たラピスが宥める様に片手を前に出した。
「取り合えずご飯出来たから持ってくるよ。話はそれから」
そう言い残すとキッチンの方へと向かっていった。
いくら何でもソファで食事というわけにはいかない。俺は近くに有った大きめのテーブルに席を写した。
そうこうしている間にラピスはガチャガチャと音を立てながら食器を用意する。それからしばらくして二枚の皿を両手に持ってやって来た。
「ほい、お待たせ」
そう言ってラピスは右手に持っていた方の皿を俺の目の前に置いた。
「カレーか」
俺は目の前に置かれた物の名称をそのまま読み上げる。するとラピスは少々恥ずかしそうに人指し指で頬を掻いた。
「夕飯の残りなんだけどね。この程度のものしか残ってなくて」
「ま、タダで食わせてもらうんだし文句はねぇよ」
そう言って今一度差し出されたカレーを見てみた。一般的な鶏肉や玉ねぎの様なよく見る食材に加えしめじや蓮根といった野菜も入れられており、健康的な印象を与え、カレーの独特の香りが食欲をそそられる。そのカレーを引き立てる白ご飯もまたいい具合にマッチしていた。
「ささ、どうぞ」
ラピスが俺の向かいへ座ると右手を差し出して進めてくる。今更遠慮するようなこともないので早速一口いただいた。
「ん。うまい
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ