瑠璃色の死神ー後編
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やや遠慮がちに尋ねてくるその仕草がいつもの彼女らしくない気がしてたじろいだ。だからだろうか。俺は心にも無いことを呟いた。
「悪いと思ってるんなら今までの分も返してくれると嬉しいんだけどな」
「それはそれ。これはこれって事で」
そう言ってニカッと笑う彼女はいつも通りの彼女だった。 やはりラピスはこうでないとらしくない。と言ってもなにが彼女らしいのかよくわからないわけだが。
「まぁそこまで言うなら仕方無いな」
俺がそう言うと彼女はクスリと笑う。
「相変わらず素直じゃないねぇ」
「お前が今までの事も謝ってくれれば素直になるんだけどなぁ」
「調子に乗るな」
そう言ったラピスに頭を小突かれた。
きっと、彼女は何かを抱えている。だけど、ラピスが抱える何かについては何も分からない。それは彼女も同じ様に俺の事について何も分からないのだろう。いつの日かその一歩を踏み込めるだろうか。そんな事を考えながら暗くなっていく空を見上げた。
◆◆◆
ラピスの家は50層アルゲートに有った。50層に着く頃には日もすっかり沈んでしまい辺りも暗くなり始めていた。この街、アルゲートは繁華街を連想させ、まるで迷路の様な雑然とした造りをしている。この街に住んでいる人ですら全体を把握できていない程だというのだから驚きだ。
何度かこの街に来ている俺でも一つの道しか分からず、他は何処に何があるかなど到底分からない。俺はただラピスの後ろをついて行くばかりだった。
「相変わらず凄い場所だよな」
俺は辺りをキョロキョロしながらそんな事を呟いた。その声ですら周りの喧騒で掻き消されてしまいそうだ。幸いラピスには聞こえていたようでこちらを振り向かずに答えた。
「馴れると大したものでもないよ?ま、逆に言えば馴れてないと大した事に感じるんだろうけどね」
確かにラピスの言う通りだろう。やはりこの街は他の街とは一線を画している。その街の造りもさることながらそれと同じくらいに異質と感じるほどの雰囲気を纏っていた。
闇の街とでも言えば良いだろうか。映画とかでマフィアかなんかが取り引きなんかをしていそうな雰囲気を放っているのだ。流石にゲームの中なので、麻薬の密売に代表される大した取り引きは行われていないだろうが、この世界でもマフィアの様な連中が居ないわけではない。
ラフィンコフィン。笑う棺桶と書くそのギルドこそがこの世界におけるマフィアと言っても差し支えないだろう。彼らは超が付くほどの殺人集団としてその名前を知らない者はこの世界にはいない。殺人、所謂PK(プレイヤーキル)をすることに殆どメリットを持たないこのSAOに於いて、そのPKを生きる目的とした奴らは当然この世界の平和を乱す存在として問
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