瑠璃色の死神ー後編
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れだけ言って彼女は俺の腕を肩に担いだ。
そう。確かに、彼女は優しい。
だから、きっと。ラピスは強いのだ。
◆◆◆
もう夜中の12時位だろうか。この世界では光源が朝まで消えないため時間の判別がつきにくい。それでも吹き込んでくる風の冷たさから深夜であろうことは伺えた。
場所は46層ルーリア。そこにある俺の家の前でラピスはニコリと微笑んだ。
「ここまで来れば大丈夫でしょ」
「悪いな、わざわざこんな所まで来てもらって」
「その言い方がひねくれてるって言ってんの。素直にありがとうと言ったらどう?」
俺の言葉にラピスはいつもの様に悪態を突く。そこに居るのはやっぱりいつものラピスであって死神なんて呼ばれている人物と同じとは思えない。はたしてどちらが本当の彼女なのか。
「ところでさ」
ラピスの切り出しに思考が中断される。何事かと見ているとラピスは言葉にを続けた。
「ファルは何であんな所に居たわけ?」
恐らく森の事を言っているのだろう。特に嘘をつく理由もないので正直に答えるとしよう。
「森の奥に用があったんだけどな。急ぎじゃないし明日にするよ」
俺は肩を竦めてそう言うと一つの疑問が浮かんだ。
「逆に何でラピスはあんな所を通りかかったんだ?おかげで助かったけども」
俺の質問にラピスは微笑んで答えた。
「私は森に用があったんだよ。まぁ大した用じゃないからまた今度にするけどね」
森に用って一体何なんだ?何かしらのドロップアイテムでも狙っているのだろうか。
「森に何かあるのか?」
俺の質問にラピスは面食らった様にまじまじと俺を見つめている。え?何?恥ずかしいんだけど。
「なんだよ」
堪らずに尋ねると、ラピスは何でもないと両手を左右に振った。
「ゴメンゴメン。ファルがそういう事聞いてくるのが珍しいと思ってさ」
「そうか?」
「まぁ教えないけどね」
俺が過去の記憶を漁っているとラピスにあっさりと否定される。何か言い返そうかと思っているとラピスが微笑みながら付け足した。
「そのうち連れてってあげるよ」
「そのうちって絶対連れてかないだろ」
俺がジト目で睨むとラピスは声を出して楽しそうに笑った。
「アハハ。確かにそうかもね。ま、覚えてたらってことで」
ラピスはそう言ってクルリと踵を返す。てっきりこのまま帰るのかと思ったが顔だけを僅かにこちらに向けた。
「また明日ね」
「明日も来んのかよ」
俺のぼやきに彼女はもうこちらには目もくれず歩き出していた。返事代わりに片手を挙げて返してくる。
そんな彼女の反応に嘆息する。
「また明日な」
俺が呟
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