第九十三話
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きで縛られてる訳じゃ、ないですぅ……」
最初は元気に抵抗していたシリカだったが、徐々にぐったりとしていってしまう。シウネーが遠くから回復の魔法を届かせるものの、シリカの状態はまるで変わらず――どうやらこの触手には、何やら特殊な効果があるらしく。
「ああもう……ルクス、シウネーと一緒にアイツを引きつけて! リーファは後ろに回り込んで多分弱点の雷系魔法! あたしとノリで思いっきり本体をぶっ叩く!」
「了解!」
「分かったよ」
リズの簡単な指揮を受けたメンバーが、散発的な行動から組織だった行動に移っていく。まずはシウネーの支援を受けたルクスが、わざと目立つように飛翔しながら、襲いかかる触手を切り裂いていく。巨大クラゲのヘイトを稼ぐことには成功したものの、まだまだ触手の数は目に見えて減ることはなく、宙吊りになったシリカを助けることは叶わない。
しかしその間にリーファはクラゲの背後に回り、リズとノリはクラゲの本体へと肉迫することに成功し――
「せいやー!」
「らぁ!」
リズのメイスとノリの棍棒の改心の一撃が、巨大クラゲの目がある本体の部分に炸裂する。かなりの衝撃度を誇ったその一撃――いや二撃は、衝撃を全身の触手にまで分配させ、たまらず宙吊りにしていたシリカを放り出す。
「きゃぁぁぁ!」
「…………ッ!」
解放はされたものの力が入らないシリカを、両手が塞がっているルクスが身体で受け止める。逃さないとばかりに追いすがる触手を、その二刀で防ぎながら、シリカを連れて足場に着地する。
「大丈夫かい、シリカ」
「あ、ありがとうございます……」
「リズさんノリさんどいて! 撃つわ!」
その間にも魔法の詠唱を終えていたリーファが、彼女に出来る最大級の雷系の魔法を放とうと、本体に近い二人に警告を鳴らす。触手の猛攻でこれ以上攻撃を加えられなかった二人は、これ幸いと巨大クラゲから逃げ出していく。
「くら……キャッ!?」
バリバリと電磁波が音をたてていき、目に見えるほどのエネルギーがパチパチと空気中に弾かれていく。そんな魔法がまさに撃たれんとした瞬間に、リーファは突如として現れた触手に手と足を拘束されてしまう。接近に気づかないほどリーファは気配に疎いわけではなく、どこから来たのかと触手を見ると、自分が背後にしていた壁からその触手は生えてきていた。洞穴にある地底湖から触手を伸ばしてきたらしいソレは、完全にリーファの不意をついた。それには構わず魔法を放とうとしたものの――魔法は強制的にキャンセルされる。
「なっ、なんで!?」
「気をつけてください! その触手、MPを吸い取る効果があるみたいです!」
肩で息をしているシリカの警告が告げられ、リーファは
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