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SAO−銀ノ月−
第九十三話
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焼きそばの片付けをしている方だ、と思いだす。彼にパーティーに入ってもらえば、いざという時にも戦力になるだろうが、呼び戻している時間はない。さらに言えばこれは、自分たち――水着コンテスト参加者へのクエストだ、彼に助力を頼むのはそもそも間違っている。

「考え込んでどうしたんだい? シリカ」

「ショウキさん連れてこようかな、って思ったんですけど……えへへ、そんな時間ありませんね」

「え? 誰々ショウキって。男友達?」

「はい。リズさんのかひゃん!?」

「そこリーファ余計なこと言わないー」

 話題の風向きが悪くなりそうだと感じたリズは、リーファのぷにっとした脇腹を小突いて止めるものの、少し止めるのが遅かったようで。また新しい餌を見つけたかのように、ノリの瞳が光り輝いた。

「へー、いいねぇ! ウチらには浮いた話がなくてねぇ。ねぇシウネー?」

「え、えぇまあ……一緒に来てる男のフレンドはいるんですけど」

「へぇぇ……その人たちはどうなんですか?」

 顔を少し赤くして下を見続けるリズを見て笑いながら、ノリはあまり気にしてないように自嘲する。それでも水着コンテストに一緒に来る男性のフレンド、というのは気になったリーファが、少し話題を振るものの、突如としてシウネーが肩をプルプルと震わせて笑いを堪え始めた。

「え?」

「いや、ふふ……すいません、ふふっ。それはありませんね」

「そうそう。一人は水着姿も見れんヘタレ、一人は水着姿より海に泳ぎに、最後の一人は適当に褒めるだけよ?」

 ったく失礼しちゃう――と不満げな表情を見せながら、ノリは愚痴って足元の砂を八つ当たりに蹴りつける。シウネーが笑いだしたのは、自分たちがそんな関係になっている、というのがあまりにも笑えるものだったかららしく。まったく想像がつかないらしい。

「大体さー! っとと、着いたかな?」

 ノリが更なる愚痴へと移行するより早く、エメリ先導のパーティーは件の洞穴にたどり着く。不思議なほど人通りの少ない――というか人の気配がないそこは、近くで見るとなおさら巨大であり。立て看板に血のような赤いペンキで『立ち入り禁止』と書かれており、中からは悲鳴のようにも聞こえる風の音が響いていた。

「ね、ねぇエメリちゃん。ほんっとーに、ここに、お姉さん入っていったの?」

「うん……お母さんがお化けがいるから危ないよ、って言ってたのに……」

「人捜しかと思ってたら、完全にダンジョンアタックね。こりゃ」

 リズはそう呟くと、洞穴に入る前に自身の武器を可視可させ腰に提げる。それに習って、先程までデュエルで使っていたリーファとルクス以外の者も、それぞれ自身の武器を緊張した面もちで装備する。シリカの短剣、ノリの棍棒、シウネー
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