第九十三話
[1/10]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
ルクスとリーファ、そしてユウキとのデュエルは曖昧なまま決着がつき。お互いに軽く自己紹介をしていると、そろそろこの水着コンテストも終了時刻を迎えてきていた。まさしくバラエティー番組のような、終了時刻までポイント三倍――という逆転のチャンスが始まったその時、ルクスはある少女を連れてきていた。
「おねぇちゃんがいないの……」
そう言って泣きついてくる少女の頭上には、クエストを受託するか否か、というシステムからのメッセージが出されていた。察するに、この広い海岸ではぐれてしまった姉を探す、という単純なクエストであるだろうが。
「この子、NPCなんだね。……でも、私たちにはそんな暇は……」
自分から少女を連れてきた身としては心苦しいものの、ルクスとしてはそんなクエストをやっている暇はなく。自分のせいで彼女らの防具が壊れているというのに、ここで直すためのお金が調達出来ないとなれば、リズたちに顔向け出来ない。仕方なしに受託するか否かのメッセージに、ルクスは震える指で『NO』を押そうとすると……
「オッケー! ボクたちが探してあげる!」
先にユウキの肯定する発言に反応し、クエストが受注される。ボタンを押すより言葉で発した方が速いのはもちろんのことで、NPCの少女は泣き止んでユウキへと笑いかける。
「ありがとう!」
「うん、任せといてよ! 頑張ろ、ルクス!」
「……え?」
少女の腰を掴んで「高い高い」とやるユウキに話題を振られて、クエストを受注したことも含めてルクスは混乱する。今更クエストで、寄り道をしている暇はないはずなのに、と。
「ルクスさん、実は……」
そんなルクスに、シリカが先程考えていたことを話す。明らかに自分たち――特にデュエルをした三人は――見られているにもかかわらず、どうしてもポイントが伸びない。ならばポイントが加算される手段が、他にクエストか何かがあるのではないか――という。
「そんな話をしてる時に、ルクスがこの子を連れてきてくれたんだ。お手柄だね!」
「ちょ……ちょっと待ってくれ」
理屈と理由は分かったが、盛り上がるユウキに対してルクスは待ったをかける。今の仮説も自分が受注してきたこのクエストも、ポイントが加算されるとは限らない、ただの根拠のない憶測ではないかと。
「もう時間もないのに、そんなのに時間を取らされる訳には――」
「――話は聞かせてもらったわ!」
彼女なりに精一杯、もう時間が足りないこと、クエストをしている暇がないことをルクスが主張していると、もったいぶった声が海岸に響く。根拠のない何かに溢れた自信たっぷりの声が、太陽がさす方角から放たれた。
「リズ……」
ノリとともにリーファにセクハ――スキンシップをして
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ