Fate/stay night
1186話
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。
一応窓を開けていったのだが、1時間強くらいでは、残念ながら臭いを完全に消し去る事は出来なかったらしい。
「……」
凛は俺の横で顔を真っ赤に染めながら、何かを誤魔化すように部屋の中へと視線を向けていた。
まぁ、この臭いの元を考えるとその気持ちは分からないでもない。
そんな風に考えながら、さてこの部屋をどうするべきかと考えていると、やがて近づいてくる足音に気が付く。
この足音が誰のものなのかというのは、容易に想像がついた。
そうして、襖をノックする音の後に声が掛けられると、当然ながら凛は慌て出す。
「おはようございます、先輩方。少し遅いですが朝食の用意が出来てますので……」
襖を開けながらそう言った桜だったが……部屋の中に入る前、襖を開けた瞬間に漂ってきたその臭いが何の臭いなのかを理解したのだろう。顔を真っ赤に染めながら下を向く。
「えっと、その。……おはようございます。さっきも言いましたけど、朝食の用意が出来てますので居間の方に来て下さいね!」
素早くそれだけを告げると、そのまま襖を閉めて去って行く。
凛は顔を真っ赤にしてそれを見送り、綾子もどこか気まずそうに視線を逸らす。
いやまぁ、その気持ちは分からないでもないけど。
ただ、このままここでじっとしている訳にもいかないってのも事実な訳で。
「ほら、朝食だって言うんだから居間に行くぞ」
そう告げ、凛と綾子の2人の手を引っ張りながら部屋を出て行く。
照れくささや羞恥からだろう。凛が、あーとか、うーとか唸っていたが……それでも結局居間に行かないと駄目だというのは理解したのか、大人しく俺に手を引かれながらついてくる。
綾子の方は凛に比べるとそっち方面で吹っ切っているのか、少し照れくさそうにしているものの、凛のように動作不良には陥っていなかった。
そうして居間に到着すると、凛が恐る恐るといった様子で口を開く。
「お、おはよう」
居間の中には既に俺達以外全員が揃っていたが、凛の一言でセイバーや衛宮、桜といった者達がどこかぎこちなく固まる。
……うん、これは俺達がどういう行為を行っていたのかしっかり理解しているな。
いやまぁ昨日の今日だし、今日が聖杯戦争最後の日になるのだと思えば無理もないけど。
テーブルの上に乗っているのは、和食中心のメニュー。
だとすれば、衛宮が作ったのか?
もしかして、朝食は衛宮、夕食は桜といった具合に区別しているのかもしれないな。
そんな風に考えながらテーブルに着くと、桜が茶碗に盛ったご飯を渡してくる。
いい匂いをしているのは、銀鱈の味噌漬け。
キュウリとカブと昆布の漬け物や、厚焼き卵も食欲を刺激してくる。
他にも小鉢にちょっとした料理がある辺り、
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