アインクラッド 後編
星降る夜に、何想う
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寸前で驚愕に掻き消された。
静寂が二人きりの洞窟に満ちる。
マサキは震える足で立ったまま。エミはマサキの腕が入っていた空洞を抱いたまま、後ろによろめいた身体を右手で支えた状態で硬直していた。
重なっていた鼓動と息遣いは、余韻のように同じリズムで続いている。
紅潮していたエミの頬が青白く変わっていくのが微かな星明りで照らされ、それが時間の流れを証明する唯一の証拠としてマサキの両目に映っていた。
そのうちに、鼓動も息遣いも別々に分かれ。
最後まで繋がっていた視線は、それから間もなくマサキが切った。
「……辺りを見てくる」
マサキは目を伏せた勢いで身を翻した。動揺を隠せない、低く、震えた声だった。
「あ……っ」
エミの喘ぐような声から逃げるため、早足でその場を後にする。どうして走って逃げないのだろうと自問しながらも、マサキの足取りが速度を増すことはなかった。
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