アインクラッド 後編
星降る夜に、何想う
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ー内で最北端の村に転移したマサキたちが、更に北へ向かうこと数十分。切り立ったクレーターの側面にぽっかりと口を開けた洞窟が、今回の目的地であるフィールドダンジョン、《星空の回廊》であった。
このダンジョン、インゴットや各種鉱石の採掘ポイントが存在し、出てくる敵はゴーレム系が殆どと、全体的にはごく一般的な洞窟系ダンジョンなのだが、一つだけ異質な点があった。それは――
「綺麗……」
ダンジョンに入った途端、隣を歩いていたエミが足を止め、うっとりとした声を漏らしながら頭上に光る無数の光点を仰いだ。
――これが、このダンジョンの異質な点。ずばり、《星》が見えるのである。とは言っても、実際のもの――プログラム上の定義という意味で――ではない。洞窟の天井をびっしりと覆ったクリッター(背景扱いの小動物)のワームが青白く発光していて、それが星に見えるというだけのことだ。とは言え幻想的であることに間違いはなく、基本的に星というものを見かけないアインクラッドにおいては殊更貴重な光景と言える。
「さっさと行くぞ」
「あ、うん。ごめんなさい」
すっかり見惚れていたエミに声を掛け、探索を促す。彼女がこの《星》の正体を知っているかは分からないが、あえて口に出す必要もあるまい。
洞窟の探索自体は、何の問題もなく進んでいった。現れたゴーレムが攻撃モーションに移る間もなくマサキが蒼風で貫けば、エミ大振りの攻撃を易々と回避して、できた隙を逃さず出の早いソードスキルできっちり仕留める。精々が四十八層のフィールドダンジョンを攻略組二人で進んでいるのだから、当然といえば当然だが。
しかし、目的のレア鉱脈は行けども行けども見つからず。マップを文字通り隅々まで歩き回り、ボスモンスターが控えていた大部屋を探査してもヒントすら発見できなかった。もちろん二人も、事前情報からその鉱脈がある部屋に行くには何らかのギミックを解く必要があるのではと考えていたのだが、そもそもそのギミックらしきものが存在しない。高いハイディングレートで隠されている可能性も鑑みて《索敵》や《罠看破》スキルを使ったりもしたのだが、二人のスキル値をもってしても反応はなかった。これには他プレイヤーへの援助で数多くのダンジョンに潜ってきたエミもお手上げのようで、探索は早くも暗礁に乗り上げてしまうこととなった。
「うーん、見つからないねー……」
二人は一度安全地帯まで戻ると、その一角に腰を下ろした。何故かマサキのすぐ隣に体育座りで座ったエミが、ぐーっと両手を頭の上に上げて伸びをする。
「……何故そこに座る」
「え? だって、向き合って座ったら、今わたしスカートだから下着見えちゃうし。……見たかった?」
「もっと遠くに座れという意味だ。第一、イエスと答えたら、見せる
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