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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第210話 救えた命
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赤に代わる。……止まっていた信号も息を吹き返し、赤から青に変わった。
隼人は、それを確認すると、軽くアクセルを噴かせる。
それでも 大した音にならないのは、そういった仕様なのだろう、と詩乃は何処かで納得しつつ、再び、そこまで背格好は変わらない筈なのに、大きく、そして温かく感じる隼人の背中に身体を預けていた。
詩乃が通う学校がある文京区湯島から、目的地の中央銀座までは、地下鉄を乗り継ぐと少々大変だけど、地上を行くなら案外と近いと言うものだ。
それが、少なからず残念だった、と詩乃が思っても仕方がないだろう。……あの事件以前の自分も、何処か他人とは一歩離れていたと思えるから。そんな自分に他人との関わり大切さを、仲間の事を、本当の意味で 教えてくれた初めての人だから。
《仲間》として《信頼》して、そして いつしか、《親愛》になっていた。
それを、詩乃は 自分の中で認めている。決して口には出したりはしないけれど。
……そして勿論 告白などと言う大それた事を出来る訳ではない、でも詩乃は それでも良いと思っている。
――……大切な事を教えてもらったから。
そして 闇から解放してくれたから。救い出してくれたから。……ただ、これからも手を繋いでくれるだけで良かった。……繋がりがあるだけでも、良かった。
――でも、これから、どうなるか……判らないけど。
詩乃は、隼人の背中を抱く腕に僅かだが力を入れた。
GGOの世界で、確かに言ってくれた言葉があるから。
《一生守って》と言った自分の手をはっきりと握ってくれたんだから。
そして、お茶の水から千代田通りを下って皇居に出ると、隼人のバイクは更に安全運転で、とろとろとお堀端を走った。隼人の背である事と、小春日和である事もあり 本当に心地良い風がとても気持ちよかった。……さっきまでは 紅潮する頬に篭る熱を覚ましてくれる風、としか思ってなかったのだけど。それに、先程、詩乃が隼人に言った通り キリトが運転する三輪バギーで死銃から逃げていた時のスピードや、リュウキとキリトのカーチェイスに比べると亀の歩みと言うものだ。
だから、もう少しだけ、温もりを……と思っていたんだけれど、あっという間に 時間にして15分程で目的地へと到着してしまった。
そして、目的地へと到着したが、その場所を見て少なからず驚いてしまった。何も聞いていなかったから、と言う訳もある。如何にも高級そうな喫茶店だった。普段であれば、まず 『入るハズナイ』と言うだろう。それに、自分の知る周りのクラスメイト達もそうだ。女子高生レベルの金銭事情を考えたら クラスメイト達も口を揃えて言う事は簡単に想像出来る。
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