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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第210話 救えた命
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そして、全ての犠牲者についての話と説明は終わりを告げた。
仮想世界で消え、現実世界でも息を引き取った数人。殺害が可能とされる条件を有している人物を選んで。
「――条件を満たしているプレイヤーたちを調べるだけでも大変な労力だ」
「同感だ。……あの世界ででの命懸けの情報収集にも匹敵するって思うよ」
隼人と和人の嘆声に、菊岡も顔をしかめて頷いた。
「多大な時間、そして労力を費やしただろうね。――だけど、それでも死銃の噂を真剣に受け止めるプレイヤーはほとんど居なかった様なんだ」
「ん」
「ええ、みんな 下らないデマだと思ってました。……私も」
菊岡も頷いた。だが、ここで少しだけ身を乗り出す様に前かがみになる。
「でもね。色々と調べてみた結果だけど、ある時期において 極一部だけど、少なからず信憑性があった、と言う発言もあったんだ。……勿論、ネット上で誰でもかける様な掲示板での発言だったけどね」
両手を組んで菊岡は続けた。
「君達も訊いた事、あるかな? 死銃伝説の噂と対極とも言っていい噂について」
「………ぁ」
詩乃は、そう言われて、はっとしていた。
そう、死銃の噂をよく聞く様になった、あのゼクシード事件。
あの場にいたのは、
死銃
(
彼
)
だけではないのだ。ある意味では、その死銃を止めようとしていた人物がいたのだ。
「……
老紳士
(
オールド・ジェントルマン
)
」
詩乃がぽつり、と呟いた所で 菊岡はニコリと笑った。
「それ、だよ。皆が呆気にとられていた現場。勿論人数がそんなにいた訳じゃないんだけど、銃を撃って、所謂 圏内だから効果がないのにも関わらず、その後にゼクシードが消えたとなれば、気味悪がって 誰も近づこう等とする訳がない状況になるだろう。……にも関わらず、淡々と近づいて 彼に語りかけた人物。……それが
老紳士
(
オールド・ジェントルマン
)
と呼ばれたプレイヤーの事だね。話し方や立ち振る舞いの雰囲気で、そう名付けたみたいなんだ」
それは、始まりの事件において、皮肉にもある意味死銃よりも広まった名前だった。
「そして、その後のGGO情報サイトでの1件。老紳士の存在を匂わせる様な現象がおきてさらに、ね」
「死銃への挑発……。あれって確か……」
詩乃は、ちらりと隼人を見た。
隼人は、ただ 眼を瞑ってるだけで 頷いたり 肯定したりはしてなかった。
有れは 渚の依頼を受けて 綺堂が仮想世界内での調査。現実世界にまで往来する事件を加味してのプレイヤーの素行調査とでも言うモノをしていた時の事だった。
最初に死銃を見て、その後、綺堂の老獪とも言える感覚が、ただの偶然とは思えないと察し いち早くにコンタクトを取ろうとしたのだ
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