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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第210話 救えた命
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RMMOの
暗黒面
(
ダークサイド
)
って奴なのかもな。……本当の意味で現実世界が薄れていくんだ」
長く、長く、
あの世界
(
SAO
)
で戦い続け、そして 関わってきたからこそ、判る事だった。VRMMOの暗黒も光明も見てきた彼らだからこそ。
「……成る程ね。それで、2人は。……君達の現実はどうなんだい?」
菊岡の問い。それを訊いて趣味が悪いと思ってしまうのは詩乃だ。だが、2人だったら、いつもの皮肉そうな笑みを浮かべるんだろうな、とも思っていたのだが、方や眼を瞑ったまま、方や宙の一点を見つめて。……2人とも共通しているのは、その表情は至極真剣である、と言う事だった。
「オレは、あの世界に置いてきたものは、確実に存在している、って思う。だから、その分オレの質量だ減少している、とは思うよ」
「……当然だ。『今オレ達が暮らしているのは このアインクラッド』そこまで言える世界だったんだ。仮想世界、《デジタルの世界》だからな。オレにとって、ホームグラウンドとまで思っていた世界だ。同じく、だ」
瞼を閉じれば、今でも思い出せる。悪夢とさえ言える世界だったのに、それでも心に残り続けている。悲しい事、辛い事、苦しい事。……負の感情と言える部分も沢山味わってきた世界だが、それに負けない程、大切な事を沢山学べた世界でもあるから。
――崩壊していく浮遊城アインクラッド。
あの時、世界が終わる時。……隼人を奮い立たせた和人。再び前を向く力を、大切なモノを思い出させてくれた隼人。……其々の傍らには最愛の女性。明日奈と玲奈。
強い感情。其々の思いの中に、確かにあった感情の光。広大な海に浮かぶ1枚の葉の様に小さく 儚い光が確かにあった、と今であれば判る。
「それで、戻りたい、と思うかね?」
色々な記憶が頭の中を巡っていた時に菊岡に言われた言葉。それはダイレクトに脳内へと叩き込み、記憶の映像を薄れさしていた。
「聞くなよ。そういう事を。正直 悪趣味だぜ」
「………」
和人は苦笑いをし、隼人は口を噤んだ。それでも 表情だけは 笑っている様にも見えた。
そして、和人は今度は詩乃の方を見た。
「――シノンは、どうなんだ? そのへん」
「え……?」
突然、と言っても 和人はこれがニュートラルなのだが、また 唐突に話を振られて詩乃はしばし戸惑ってしまう。だが、過ぎに思考を言葉にした。……正直、慣れてない事だったけれど、それでもはっきりと感じたままのことをそのまま口にしようと努力をした。
「ええと……、キリト。あなた、言っていることがこの間と違うわ」
「え?」
「仮想世界なんてない。ってあなた言った。その世界ごとにプレイヤーが分割されているわけじゃないでしょ? 今私のいる、この……
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