8部分:第八章
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した?」
「落ち着いてるな」
その顔を見て言うのだった。
「この状況でも随分な」
「ああ、そういえばそうだな」
「確かにな」
見れば確かにそうだった。彼は落ち着いていた。
「落ち着いているってことは」
「安心していいのか?」
「まあ俺達にはどうしようもできないしな」
これが残酷な現実だった。
「できるのはあいつだけだし」
「やっぱり見守るしかできないんだな」
「そうだな」
結局のところこうなのだった。これしかなかった。
「じゃあ。最後の一球」
「見守るか」
彼等も遂に腹を括った。
「抑えても打たれても恨みっこなし」
「それでいくか」
「ああ、俺は決めた」
「私もよ」
当然ここには女子生徒もいた。彼女達も腹を括ることにしたのだった。
「もうね。こうなったら」
「近藤君に命預けるわよ」
「甲子園」
そう、甲子園は彼の左腕にかかっていたのだった。
「頼んだからね」
「本当にね」
こうした言葉を背負う形となって彼は遂に最後のボールを投げた。それは内角に入るものだった。高めで球威も速度もそれ程ではない。
「スライダー!?」
「いや、カーブか?」
それを見た多くの者がそれは変化球だと見抜いた。
「馬鹿な、それ投げても」
「ボールだぞ」
スライダー、カーブならばそれは明らかだった。
「四球を選んだのか?」
「まさか」
それはすぐに疑念で返された。
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