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ファイナルファンタジーT
36話『世界の死神』
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ルの欠片の力を左手に出現させ、若干濁りを帯びたクリスタルブレードの切っ先を12賢者達へ向けるランク。

「自由……そうね。クリスタルの欠片を持つ者はその役目を放棄すれば、アナタ達の"内なる闇"が暴走しアナタ達自身が新たなカオスとなり世界を終わらせるだけ。それを望むなら、好きになさいな」

 感情の読み取れない口調で言葉を切る女賢者エネラ。

「そりゃあいい、世界を救うハズの光の戦士がカオス化か。なってみンのも悪かねェな、世界の死神に」

「───ランク、だめ。それじゃマゥスンが戻って来れなくなっちゃう。この人達の力を借りなきゃ、今は」

「…………」

 ランクの左手にシファがそっと手を添えて制し、ランクは 賢者達を睨んだままクリスタルブレードの切っ先を下げ水の 泡と化させ消失させる。


「 ────お前達に、預けておこう」

 予言者ルカーンはおもむろに懐から火のクリスタルの欠片を取り出し、その内なる淡い光は微かに明滅していた。

「あの者が、戻って来るであろう兆しを感じる。今少し時を要するが、これを持ちあの者が眠っている傍で待つといい」

 不意に告げられ内心驚きはしたが、平静を装ってランクはルカーンに近寄り無言で火のクリスタルの欠片を受け取り、シファ、ビル、ランクの三人は早る気持ちを抑えつつマゥスンの身体が横たえられている家屋へと向かった。



「戻って来たら……、まずはお帰りなさいって云ってあげないとね」

「でスね。あと……助けてもらってばかりでごめんなさいとも、云いたいでス」

「オレは1発殴らねーと気がすまねェな」

 道中シレっと云うランクに、ビルとシファはぎょっとする。

「な、殴るのは良くないでスよぅ……!」

「そうだよ、叱りたい気持ちも分からなくないけど……」

「アイツに何云ったって返ってくンのは、問題ねェだの気にすンなだのばっかだろ。何発か殴ってやりゃ、その内逆ギレすンじゃねェの」

「マゥスンが怒った所なんて見たことないけど……(笑った所も、見たことないよね)」

 そう考えると、寂しい気持ちになるシファ。

「ランクさん! マゥスンさんを殴るくらいなら、ボクを殴って下さいっ。というか、マゥスンさんは殴らせませんでス!」

「おー、そーか。ンじゃ今殴らせろ」

 不敵顔で指をボキボキ鳴らしながらビルに迫るランク。

「どどっ、どうぞひと思いにやって下さい! それでランクさんの気が晴れるなら……っ」

「二人して何云ってるんだか……、やめなさいってば!」

 シファは持っている杖の先端で、ランクとビルの頭をポカっと軽く叩いた。

「マゥスンが帰って来たら、源のクリスタルに輝きを戻す必要がある
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