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ファイナルファンタジーT
36話『世界の死神』
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 ────協力者達とオンラクの町で別れたシファ、ビル、ランクの3人は、戻って来ているかもしれない仲間の1人を迎えるためクレセントレイクの町まで戻り、東の広場にやって来ていた。

予言者ルカーンを始めとした12賢者達はそれを待っていたかのように思い思いに佇んでいたが、ワインレッド色のローブの襟で口元が隠れている黒髪の女賢者が話を切り出した。

「期待させて悪いのだけれど、彼の魂はまだ戻っていないわ」

 それを聞いた3人は落胆を隠せないが、予言者ルカーンはそれに構わず女賢者に次いで口を開く。

「砕かれた火のクリスタルの欠片は我らで修復したが、あの者がこちらに戻る条件は未だ満たしておらん。……とはいえ、1人欠けた中で三匹目のカオスを倒し二つ目のクリスタルの輝きを取り戻したお主らは、称賛に値する」

「わたし達の力だけじゃありません。協力してくれた人達がいてくれて、出来た事ですから」

 シファは以前と違って臆する事なく12賢者達に告げたが、ビルはとんがり帽子を下向かせ心配そうに問う。

「ボク達は……今のマゥスンさんに、本当に何もしてあげられないんでスか?」

「えぇ、そうよ。あなた達は待つしか出来ないの。彼の魂が戻って来なければ近い内に、火のカオスが奪っていた火の源の力は制御を失い暴走し、取り返しのつかない事になるわ」

「アイツが戻って来なかったら、オレらの役目ってのも終いだ。それならそれで楽な話だろ、オレらが世界のためにしてやれるこたぁ何も無くなるだけだからな」

 他の賢者よりいつもでしゃばって述べる女賢者に対し、ランクは特に苛立ちは覚えずにべもなく云った。

「あら、冷たいのね。世界も自分も彼も、どうなってもいいと?」

(そうだ、どーにでもなりゃいい。アイツが戻って来ねェなら──── )

 助けに行ってやりたいのにそれすら出来ないもどかしさに、ランクは自暴自棄になっていた。

「……教えてくれませんか。あなたが予言した光の戦士が、何故わたし達なのか。どうして、クリスタルの欠片を持っているのか……」

 ふと、シファがルカーンに問い掛けたが当の予言者の応えは呆気なかった。

「4つの源のクリスタルが、お前達4人を定めたのだ」

「そ、それだけじゃ納得できないでス。12賢者さん達は、ボクらよりずっと強い力を持ってるんじゃないですか? 本当はボク達なんて、必要ないくらいの────」

 ビルも疑念を投げ掛けるも、賢者達はあくまで淡々としている。

「我らは導き手の役割を担っているに過ぎぬ」

「……結局アンタらは高みの見物で、オレらをいいように利用してンだろ。導き手を失っちまえば、むしろオレらは晴れて自由なンじゃねェのか? なら今ここで、やっちまうか」

 水のクリスタ
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