6部分:第六章
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「じゃあ。あと一人」
「ああ」
「抑えてみせます。それで甲子園に行きましょう」
「飛んできたボールは俺達が何があっても取るからな」
「後ろは任せろ」
彼等もそれぞれの仕事はわかっていた。打たれればそのボールを何があっても受けてアウトにする、やはり野球は一人ではなく全員でするものだからだ。
「いいな、後ろはな」
「任せてくれ」
「有り難うございます」
この言葉だけで今の彼には充分だった。
「それじゃあ。投げます」
「よしっ」
「任せた」
ナインは彼の言葉に頷いて今はマウンドを後にした。そうしてそれぞれのポジションにつく。今遂に最後の一人との勝負がはじまろうとしていた。
相変わらずのセットポジションだった。やはりランナーを背負っている以上この動作から投げることだけは外すことができなかった。
まずは一球。外角へのストレート。しかしこれは外してしまった。
「ボール!」
「くっ!」
「外したのかよ!」
「いや、違う」
ここでまた誰かが言った。
「あれは振らせるボールだった」
「振らせるボールかよ」
「きわどいコースだった」
外角低めギリギリだった。あとボール半個程度だったのだ。
「あれは審判がストライクと言っても不思議じゃなかった」
「けれどボールか」
「よく見てるな」
「ああ、あのバッターはな」
ここで右のバッターボックスに立つそのバッターが見られた。見れば彼はバッターボックスの中で実に涼しい顔をして構えている。
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