オペラセリアのエピローグ 3
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ゼドラ」
軽い口付けの後、艶やかな微笑みを浮かべ。
俺に預けた体が唐突に落ちかけた。
咄嗟に両腕で抱き抱えるように支えれば、意識を引っ込めたそれはもう、ロザリアの幼さを残した容姿に変わってる。
ついでに翼が消えたのは、アリアの仕業か?
多少の力を残して、ほとんどは封印したな。
髪の長さも肩に掛かる程度だ。クロスツェルの教会に居た頃を思い出す。
「ロザリア」
ほら見ろ。全然違うじゃないか。
表層意識をロザリアにしただけで、眠る顔すら別人だ。
目蓋を閉じていてさえ、気が強そうな目元も。
浮浪時に悔しさや怒りを堪えて耐えて引き結んできたのだろう唇も。
何もかもが、アリアなんかとは全然違う。
「やっと、会えた」
簡単に折れそうな体を強く抱きしめて、首筋に顔を埋める。
とくん、とくん、と響く生命の音。
柔らかな熱。
穏やかな吐息。
ロザリアの、形。
「…………今のうちなら、有効だよな」
クロスツェルの野郎に邪魔されない絶好の機会。
マリアも離れた今、この体は俺の自由だ。
白い首筋に牙を立
「てめえは、本当にっ……! 二度と私に触るんじゃねぇって言っただろ、この黒い駄犬がぁあああ──っ!!」
「!」
パッ、と腕の中からロザリアが消えた。
草山並ぶ草原もガラッと様子を変える。
ここは……街か?
石造りの建物に、商い用の鉄看板が種々様々と並ぶ狭い通り。
どの店も営業時間が過ぎてるのか、見渡しても人影は無く、薄暗い。
目を覚ましたロザリアに吹っ飛ばされたのか。
「チッ。もう少しだったってのに。まあ良い。居る場所は判って……」
…………ん?
待てよ?
この建物群、見覚えがあるぞ。
看板の配置とか、色とか、建物の特徴も……
「ハッ!? ここはまさか、マリオンが居る街じゃないか!?」
そうだ。
ここをまっすぐ抜けて、大通りを東方面に向けて歩いて。
おおおおお!
間違いない!
確かに『ベーカリー・マリオン』が構えてる街だ!
ロザリアのヤツ!
俺の記憶を見て飛ばしたのかなんか知らんが、ナイスチョイスだ!
素晴らしいっ!!
「わざわざ跳んでくる手間が省けた! レゾネクト関係は全部片付いたし、ロザリアを狙うバカもクロスツェル以外はいない。早速マリオンに……」
が。
俺は甘かった。
砂糖よりも甘かった。
『ベーカリー・マリオン』の経営スタイルをよく思い出して欲しい。
そう、テナント。
借り店舗だ。
貸りた店舗。
つまり、自分持ち
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